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孕ませてやるよ
官能リレー小説 - レイプ

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孕ませてやるよ 16

小劇場の演劇は、基本的に赤字の場合がほとんど。
公演のために借りている劇場が100人の客数のキャパだとすると五日間利用で25万円。
練習場所も一日2万円かかるとして公演までに20日稽古すれば40万円。
衣装や美術などの経費として35万円。
ここで必要経費は100万円。
役者としての出演者が5名、演出、脚本家、音響、照明、美術、衣装、制作、いくつか兼務としてスタッフが5名だとして10名の時給を1000円とする。
人件費は10名×25日×8時間×1000円=200万円。
300万円の経費をかけるとする。
それに対して公演期間を五日間のうち仕込みの通し稽古(ゲネ)に一日、残り木曜〜日曜の四日間を本番、土日は2回公演して、計6回公演とする。
一回の公演で客が100人、6回の公演の全てチケット完売で満席として600人。
必要経費300万円を600人のチケット代でなんとかするには、チケット代は五千円となる。
6回の公演のすべてが満席というのはかなり有名な劇団であればあり得る。また有名な脚本家のシナリオや有名な役者などの出演など、宣伝になる要素があればの話だ。実際に知名度の高い俳優や脚本家を芸能事務所から呼んだとすると人件費は高くなる。
しかし満席にならない分は、チケットを五千円にしても赤字となる。
小劇場の演劇でチケット代が五千円以下の公演はざらにある。
木村梨香の所属する劇団の舞台は出演者六人はノーギャラで、スタッフは六人の費用に回している。
さらに、チケット代も三千円。
劇場のキャパは100人まで客が呼べる規模があるが6回公演のうち2回満席になればましなほうで、当日にたまたま立ち寄ってくれる客が頼りなところがある。
演劇より映画のほうが安上がりであるため、最近は客が少なく、赤字覚悟で、自分たちの演劇を見せたいためにやっている小劇団がほとんどだ。
また自分たちの知り合いや友人などにチケットを売るために、なんとなくまったく見ず知らずの客が入りにくい雰囲気まである劇団もある。
木村梨香のチケットと当日券で集まった客たちに、劇団関係者の知り合いの客たちも、劇団の主宰で、脚本や演出を兼ねている二十五歳の元大学演劇サークルの役者志望の男性も動揺した。
「あんなすごい人たちを誰が呼んだんだ?」
梨香は知らないふりをした。
芸能事務所のスカウトマンは今回の公演でもう演劇をやめて、普通に就職するという主演の女優に一年間トレーニングを受けてみないかとスカウトした。
梨香にも目をつけたが、写真家のお気に入りとなれば、訓練生扱いにはできないとあきらめた。
劇団の主宰も役者として舞台にいたが、こちらはまったく関係者に気にかけられることはなかった。
主演女優は芸能事務所にスカウトされ、一年間所属してトレーニングを受けることになった。
しかしデビューする直前で別の事務所に移籍した。金に目がくらんで、アダルト女優としてデビューした。
芸能事務所からグラビアアイドルとしてデビューしてから、もともとの望みの女優業につける自信は、他の訓練生たちとくらべてみて、すっかり喪失してしまった。
梨香もこの公演のあと、劇団をやめた。
有名な芸能関係者に萎縮している役者たちの舞台で役者としての初舞台だとよろこんでいた自分が情けなく思えたからだった。
そのために生活は苦しくても憧れてきた役者になるという夢への道と思えた劇団は、今回の一時活動停止で、とても遠いまがいものに思えたのだった。

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