寄生虫〜女子高生強姦寄生〜 28
二人が互いの情報を確認していると、唐突に声が響きわたった。
『えー・・・みんな、聞こえているかな?突然だけど、僕からプレゼントがあるんだ。なんと、この街のマップをあげちゃおうかな。
みんなが入ってきた街の入り口に置いておいたから、好きにとっていってね。
これは“鬼”の位置も表示される優れものだよ。
ちゃんと人数分はあるから、焦らないでね。
ああ、この間は“鬼”の行動は停止してあげるよ。全員がマップを取ったら再開だよ。
三十分以内に取らなかったら強制失格になるから気をつけてね。
失格になった人が、どうなるかは分かるよね?
それじゃ、頑張ってね。』
青年は自分の言いたいことだけを言い放ち、それきり黙り込んでしまう。
青年の声を美穂たちに届けていたであろうスピーカーが、再び音を響かせることはなかった。
「・・・どうしようか?」
「どうするもなにも、行かなければ強制失格になるのでしょう。
なら、行かざるを得ないでしょうね。」
「だよね・・・でもこれって・・・」
「ええ。間違いなく、何か裏があるでしょう。“鬼”の動きを止めてまで、私たちにマップとやらを取らせるということは、それに何か細工がしてあるか・・・とにかく、行ってみないことには分かりませんね。」
「そうだね。じゃあ、一緒にいこうか。ソフィア。」
「ええ、行きましょう。美穂。」
しばらくして二人が入り口に到着すると、ちょうど一人の女性がマップを取りにきたところだった。
彼女は腕に何かを巻き付けると、一目散にその場から立ち去っていった。
「あれがマップかな?」
「でしょうね。なにやら腕時計のようですが・・・」
入り口にはいつの間に置かれたのか、大きな台が設置されており、その上にはちょうど二つの腕時計のような物体が置かれていた。
普通の時計と違うのは、文字盤の部分が液晶画面になっている点である。
二人はそれを手に取ると、腕に巻き付け固定する。
その瞬間、カチャリと鍵のかかるような音が響いた。
「これは!?」
「くっ・・・外れませんね。どうやら、自力では外せない代物だったようです。」
「そんな・・・」
外れないということが分かると、途端に窮屈に感じてくる。
電源が入り、周囲の地図を表示した機械を見て、美穂は顔を歪ませた。
「なにはともあれ、あの声は人数分の用意があるといいました。ならば、このバカげた催しを再開するために、もう一度アナウンスが・・・」
ソフィアの予想通り、再び青年の声が聞こえてきた。
『やあ。全員ちゃんとつけてくれたようだね。偉い偉い。それじゃ、“鬼ごっこ”を再開しようかな。・・・おっと、その前に・・・もう一つ、君たちへのプレゼントだよ。』
ピ・・・
青年の言葉と同時に、軽い電子音がマップから響く。
その途端、美穂たちの手首に、鋭い痛みが走った。
「痛ッ!!!」
「これは・・・!?」
続いて、ヒリヒリとした感覚。
病院で、注射を受けたような・・・
しばらくして、その感覚は収まった。
「な、何だったの?」
「今のは、いったい・・・?」
『そのマップには、僕が開発した薬がいっぱい入っていてね、ボタン一つで注射できるんだ。今、君たちに打ったのは、“気絶できなくなる”薬さ。
だって、みんな犯されたらすぐに気絶しちゃっておもしろくないんだもん。
せいぜい、気絶することなく、最後までおもしろい反応を僕に見せてね。』
そう言うと、青年の声は再び途切れてしまう。
生き残っている全員に絶望の種を植え付け、自身は高見の見物を決め込んでいるのだ。
「これは・・・とんでもないものを打たれてしまいましたね・・・」
「あんなのを無理矢理に犯されちゃったら、絶対に死んじゃうよ・・・」
「それだけではありません。先ほどの彼の台詞からして、まだ他にも薬が入っている可能性があります。」
「そんな・・・」
美穂の心を、恐怖が満たしていく。
そんな美穂を見て、ソフィアは言葉を続けた。
「さて、私はこれからマップを手がかりに、街を調べてみようと思います。」
「大丈夫なの?」
「危険がないとは言い切れません。
しかし、このマップの機能があの声の言っていた通りならば、“鬼”の位置は表示されるはずなので、危険度は先ほどよりは低いでしょう。
・・・それで、あなたはどうしますか?」
「えっ?」
「このまま別々に分かれて行動するのか。
それとも、一緒に来ますか?」
少しの間、考え込んだ美穂だったが、やがてソフィアの顔を見てはっきりと言った。
「私も行く。一緒にここから出よう。」