アキラ君の「ちょっと待ってよお兄ちゃん!」 25
「ところで鳴海」
「何でしょう?」
俺は傷口から目を離さずに憮然とした口調で返事をした
「スカートにトランクスはいただけないな。脱ぐがいい」
「…はい〜!?」
「スカートが変な形に膨らんでる。気にしなくても目立つぞ」
「ちょっと待ってください、俺、ノーパンになれと!?」
「うみゅ、違和感がありすぎるからやむを得ないな」
「得ないなって、俺の制服が乾けば問題無いはずでしょ」
「むぅ………」
「いや、『むぅ』じゃなくって…」
言い負かされたのがそんなに悔しいのか、腕を組んで恨めしそうに見てくる。
全く。困ったオバハンである。
俺が冷や汗を流していると、今度は何を思いついたのか突然椅子から立ち上がり、干していた俺の制服の所まで近付く。
そしてその左手には……。
事態に気付いた俺は電光石化の素早さで、先生の左腕をひっつかんだ。
先生は持っていたオイルライターで、俺の制服を燃やそうとしていたのである。
その眼は冗談や脅しでなく、本気で燃やすつもりの眼だった。
見境がないとは、西島先生のために作られた言葉だと言う奴がいても、おれは否定せんぞ。
「どうしてもやらせたいんですね?」
「うみゅ」
俺は『制服を燃やされるよりは』と大きな諦めの溜め息を吐く。 そして羞恥心を押さえ込みながら先生の前で、穿いていたトランクスを自分から脱ぎ去った。
「さぁ、これで満足でしょう!」
もうヤケクソだ。
『下半身がスースーするぅ…』
「けどこんな格好してたら、それこそ風邪引いちゃいますよ!」
無駄とは思いつつ、俺は恨めしい顔して先生を睨み付ける。
我ながら、いい度胸だ。
でも今回は納得した用に頷いてきた。
「うむ。今、気が付いたのだが、ここには生理用のショーツならある」
「……共学や女子高ならともかく、何で男子校の保険室にそんな代物が…!?」
俺の驚きには一切構わず、淡々と質問に答える。
「うみゅ。女性教師や、外来の客の為に置いてあるのだ。
ちゃんと生理用品も各種取り揃えておるぞい」
そう言って先生は棚からそれを引っ張り出そうとする。
「わぁっ!
わざわざ見せんでいいですよ。そんなモン!!」