僕とママ 13
裕樹の舌が、狂ったように動きを加速させる。
いいえ。
狂ったのはわたし。
わたし、こと相馬麻理子は、唇を噛みしめ、涙を浮かべて激しくかぶりを振る。
そうして、息子の攻めに耐えながら、腕だけでなく、半開きにした素脚を裸の息子の片脚に絡みつかせ、全身で彼を抱きしめる。
汗ばんだ股間に貼り付いた小さな下着が、息子の股間に押し当てられた瞬間、くちゃり、と淫媚な水音をたて、頭にかぶったままのタオルケットのなかにこだまする。
わたしの女の部分がより強い密着を求めて、その欲求に駆られたわたしの両脚が息子の脚をはさみつける。
(…ッ!?)
目を閉じた真っ暗闇の視界が、その直後に真っ白に、爆発した。
と同時に。
時を同じくして爆発した息子の熱い液体が、下着に包まれた恥骨の上に降り注がれるのを感じながら、わたしはたてつづけの絶頂をむかえていた…。
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…どのくらいの時間が経ったのだろう。
わたしは、わたしに折り重なってぐったりしていた息子が起き上がる気配に、目を覚ました。
時計の針が、もうすぐ夕方の落語バラエティが始まる時間をさしていた。
ずいぶん眠っていたものだ、と思う。
いつもの日曜ならそろそろ、夕食の支度を始めるタイミングだった。
が、思い出すだけで赤面しそうな記憶がよみがえって、とてもそんな気になれない。
暗くなりかけたリビングの床の上で寝そべったまま、わたしはタオルケットを引き寄せ、身体にかけ直してから、また、目を閉じる。
ペタペタと、裸足の足音がこちらに戻ってくる気配がしたからだ。
わたしは寝息を立てて、息子の手がタオルケットに伸びて来るのを、胸を踊らせて待っていた。
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薄暗くなったリビングで、ダイニングチェアにぶつかりながら、ようやく目指す場所にたどり着いた。
同じ間取りのはずなのに、ただ少し暗いというだけで、こんなにも歩きにくいなんて。
ちょっと意外だったな。
家中からいろいろかき集めて、手がふさがってバランスが悪かったせいもあるけど。
とにかく持ってきたものを床に下ろすと、眠る相手の足元へ回り込んだんだ。
タオルケットの端をつまんで、長くてすべすべした素足をゆっくり、あらわにしていった。
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(……?)
タオル生地のブランケットがゆっくり、ゆっくりと、まるで宝物に掛けられたヴェールをめくるようにまくられて、わたしの素脚、そしてその終点の小さな下着までが、息子の目にさらされてゆく。
ごくり、と、生つばを飲み込む音が、エコ運転中のエアコンのモーター音しかしないこのリビングに響きわたる。
「…っ?」
不意に、ひんやりと濡れたものが下腹部に触れてくるのを感じて、わたしは身を縮めた。
思わず薄く目を開けると、洗面所に置いてあったはずのウエットティッシュの容器が床に転がっているのが目に入った。
ああ、そうか。
裕樹は、さっき自分で汚してしまったわたしを気づかって、綺麗にしてくれているんだ…。
やっぱり、この子は信頼できる。
わたしがあんな風に誘惑してしまっても、すぐにちゃんと、相手を気遣う優しいゆうちゃんに戻ってくれるんだ。
わたしは嬉しくなって、じっと、されるままにしてあげたのだった。
…グイッ。
優しい息子に安心していた、そのとき。
ふいに、両足首をつかまれて、声が出そうになってしまった。
(…?)