僕とママ 12
ママのそこを口に含んだ瞬間、すうっと、頭のなかを優しい風が吹いた気がして、僕はうっとりと目を閉じたんだ。
手でただもてあそんでいたときとはまるで違う、幸せな気分。
口のなかを通じて、ママの乳首に浮かんだ汗の味と、ママの身体に染み付いた、ママ独特の甘いような匂いが、僕の脳味噌に流れ込んでくるみたい。
赤ちゃんの時も、僕はこんなに気持ち良かったのかな?
そんなことをぼんやり思いながら、鼻の穴だけで静かに深呼吸を繰り返してみる。
口の中で唾液に薄まった汗の味が、また戻ってくる。
(…寝汗をかいてるんだね、ママ?)
目を閉じて、なにもみえなくてもわかることって、けっこうあるんだな。
深呼吸の中のママの汗の香りも、こもったタオルケットのなかでぐんと強まった気がする…。
ママの味をぜんぶ吸い尽くしたくなって、僕は口の回りや舌にちからをこめる。
「……ん……ン、くっ」
(…!!)
ほんの一瞬、ママのくちびるの隙間から、軽い鳴き声が聞こえた気がする。
…いけない。
優しくしてあげなきゃ。
それに、もうしばらくだけでいいから、眠ったまま、僕を赤ちゃんでいさせて欲しかったんだ。
僕は、強すぎた吸引をやめて、優しくいたわるように、舌の先でママの乳首をなでてあげることにした。
きっと、僕がもっと子供の頃、泣かされて帰ったときにママが僕の頭をそうしてなででくれたように…。
そんな昔のことを思い浮かべて僕は、そっと舌先を動かしはじめた。
ママ…。
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(…っ!?……ゆ、ゆうちゃん!?)
なんのテクニックも無い、痛がゆいだけの吸い付きをくりかえす息子に、いつしかわたしはこの子が赤ちゃんに戻ったような錯覚にとらわれ、すっかりリラックスしきっていた。
が、突然。
裕樹の舌先が、まるで白魚の踊り食いのそれのような動きで、わたしの敏感な先端部を翻弄しはじめたのだ。
(やだ…やだ、ゆうちゃん)
わたしは思いきり叫び声をあげたくなるのを必死でこらえようと、全身にちからをこめてしまう。
(じょうず……上手よ、ゆうちゃんッ)
寝返りを装って息子の首に回した指先が、知らぬ間にその肌に食い込んでしまっているのを自覚しながらも、どうすることもできない。
わたしはギュッと目を閉じて、この快楽の大波に飲まれまいと、裕樹にしがみつくのだった。
ゆうちゃん…。
xxxxxxxxxx
(ま、ママ!?)
僕が舌を動かし始めた時だった。
眠ったままのママの腕が、僕の首に、痛いほどしがみついてきたんだ。
まるで、僕にもっと、もっとそこをなめて欲しいって言ってるみたいに。
そのせいで、大きなオッパイのお肉が鼻の穴を半分以上ふさいでしまって、息をするのも難しい。
苦しいはずなのに、おかしなことに僕は少しも嫌じゃなかったんだ…。
僕はママの背中に腕を滑らせ、抱きしめ返す。ママのオッパイがついに鼻はもちろん、目を開けられないほど僕の顔全体を埋めつくした。
息が止まっても、かまうもんか。
僕は夢中で、舌先をクルクルと動かし続ける。
首筋と背中にママの指が食い込むのが解ったけど、僕は舌と乳首の舞踏会を止めようとはしない。
僕の脳味噌は、ただひとつの言葉だけを壊れたスピーカーのように再生し続けるのだった。
(…ママ……ママ………ママ…………ママ……………)
酸素が無くなっていく頭のなかで何度も、チカチカとフラッシュのような光がまたたいた…。
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