僕とママ 14
わたしの両足首が、膝を折るようにしながら左右に開かれてゆく。
もしかすると、股の内側の汚れをぬぐおうとしているのかしら。
眠ったふりをしているせいで、脱力したわたしの脚はきっと、重たいはずだ。
でも彼は、ほんの少しのちからをこめただけで、軽々とわたしを開脚させてしまった。
5年生になっていくらも過ぎていないけれど、すこしは逞しくなったってことかしら。
そういえば最近、少し背が伸びてたかも…。
そんなことを思いながら、わたしはのんきに息子が内ももをふき始めるのを、待ってた。
(えっ!?)
でも、違ってた。
次に息子が触れてきたのは、意外にも、わたしの両手首だったのだ。
両手首が引っ張られて、開かされた両足首に添えられたのが、わかった。
(な、何ゆうちゃん………どうしたいの?)
わたしの不安をよそに、裕樹は何かを取り出して、ゴソゴソと手を動かし始めた。
わたしは怖くなって、また薄く目を開けるけれど、V字に開いた太ももに視界をさえぎられてしまっている。
「よ、……い、しょ…っと」
粘着質の感触が、手首と足首とをぐるぐる巻きにしてゆく。
右の手首は、右の足首と。
左は左どうしの組み合わせで、くっ付けられたままで動けないよう、固定されてしまったようだった。
「やっとできたよ、ママ?」
目を閉じたままのわたしのひたいに、じんわりと汗のたまが浮かぶのが感じられる。
「こういうの、M字開脚、って、いうんだよね?………DVD以外のリアルで見たの、初めてだけどさ……」
落ちついた、冷ややかな、声。
「おいメスブタ、ガムテープくらい買い置きしとけよな……コンビニまで買いに走っちまったぞ?」
『か……和也君っ!?』
「ご主人様だろ?………ってゆーか、す・り・か・え・か・め〜〜〜ん♪、パート2、て感じ?」
にゃっは〜、と、おどけた顔は、悪魔のように美しいのだった。
…寝乱れたマキシワンピに、汚れたパンティ1枚。
しかも大股開きのまま、手足をガムテで拘束されていたけれど、わたしにとって今最も大事なことは、全く別のところにあった。
「…む、息子は……あの子はどこッ!?」
他でもない、主人の死後、借金返済のために不特定多数の他人に体を開くことを余儀なくされ、雇い主にまで犯されながらも決して手放さなかった、たったひとつのわたしの宝物。
「ゆうちゃんを…裕樹をどこへやったのッ!!」
「…どうしたと思う?」
激昂するわたしにたいして、この少年はからかうように首をかしげて見せる。
「返して…あの子を返してッ!!」
「……あれ?」
「……?」
「……ご主人様にお願いがあるんだったら、もっと素直になってくれなきゃ、なんじゃネ?」
声をひそめて、和也はわたしの頬にへばりついた乱れ髪を整える。
「…ッ……あ、あなたってひとは…」
「ひどい奴なのはお互い様だろ?」
怒りに震えるわたしの言葉は、すぐにさえぎられた。
「オレの家をメチャクチャにしたの、アンタじゃん」
「な、何言って……」
「何もくそも、アンタが俺んちのオヤジを、誘惑しやがったんだろ!?」
彼はどうやら数年前のあの日のことを言いたいようだ。
「そ、そんなの逆恨みよ……だってあれはあなたのお父さんがわたしを脅して…」
「口答えすんじゃねえ、このブタッ!!」
…パシンッ。
わたしの髪を優しくなでていた手がひるがえり、左の頬に打ち下ろされた。
「メチャクチャなのは貴方のお父さんよ。女の弱みに付け込んで意地汚いやり方。
貴方もおんなじよ。もっと狂ってるわ!女みたいな顔と赤ちゃんみたいなペニスでいきがったって、
女一人犯すこともできないガキじゃない!」
「ぐっ!メスブタの分際で…」
私がずっと思っていたことを口にすると、和也は激昂してカッターナイフを取り出した。
「売り物にキズつける気?一級のデリヘル嬢に」
「見損なうな、俺だって本番ぐらい」
和也はマキシワンピとショーツを切り裂く。
「ココからユーキが出てきたんだな」
和也が私の割れ目に触れてくる。さんざん触れてきても入れようとしなかった穴だ。
「ハメるくらい簡単だ!思い知らせてやる」