旅好き親父の遺したもの 24
晩ご飯を食べたあと、
「あ、あの。男の人とこういうとこに泊まるのは慣れてなくて。」
「そ、そうなんだ。」
「わ、私はいつでもいいですよ。」
「え?何が?」
しずるちゃんは緊張してるみたいだけど、自分の右手を見ると俺もしずるちゃんの手をずっと握っていた。
「だから、その。」
「…いいの?」
「…いつでも…どうぞ」
…それ以上の言葉は必要なかった。
自然としずるちゃんの顔に自分の顔を近づけ、唇が重なる。
しずるちゃんの身体を引き寄せ、抱きしめる。
そのまま、ゆっくりベッドに倒した…
「んっ、あっ、はぁっ」
気がつくと俺もしずるちゃんも服を脱いで裸だった。
「ああっ、あっ、龍一さんっ」
「しずるちゃん…好きだ…」
「私も…あぁあああっ!!!!」
そのまま、しずるちゃんの中で果てた。
「嬉しいです、龍一さん」
「しずるちゃん、積極的だね」
「龍一さんに、私のことを好きになってほしくて…」
「もう十分好きだよ。でも、みんな大切な人だから、誰が一番かとかは決められないな」
「ですよね」
そして、あの二人―由真と未来に会いに行く。
大阪から鶴橋で近鉄に乗り換え、そこから数十分。
「お二人は、お隣同士に住んでて、自分たちに血のつながりがあると知ったら、どういう顔をされるんでしょう」
「…さあ…でも、複雑だから、そこを説明しないとな…」
最寄り駅で降りて、目的の家を探す。
親父がうろ覚えで書いたと思われる地図の場所は、マンションが建っていた。
「…ここなのか?」
「…ここですねえ」
しずるちゃんと一緒に悩んでしまう。
「どうかしましたー?」
「道に迷ったんですか?」
仲のよさそうな女の子が二人…
この二人こそ、若江由真と岩田未来だったのだ。