姉、僕、妹、妹 90
「うん……重い……」
僕は体が重いというより物理的な重さで目を覚ました。
「あ…茜…」
「んぅ…好き…」
(つながったまま茜も僕も寝ちゃったのか…)
「ん……あ…」
茜は気持ち良さそうに時々体を揺らせて寝ている。
(起こさない様にどかさないと……)
僕は結合を解き、茜を体の上からずらそうとした。
「あぁっ!」
「はぁんっ…あ、お兄ちゃん…」
思わず声を上げてしまい、茜を起こしてしまった。
「お兄ちゃん、昨日先に寝ちゃったんだよぉ。」
「うん…ごめん。」
「もうちょっと頑張ってよぉ。」
「努力するけど…もうちょっと穏やかにできない?」
「私も努力するねぇ。」
「ありがとう。じゃあ僕は先に起きるよ。」
僕はシャワーを浴び、朝食の準備に取り掛かった。
「ええと……あ、卵がそろそろないな…メモしとこう……」
スクランブルエッグと湯で野菜サラダを作り終えたところに制服姿のお姉ちゃんが起きて来た。
「あ、お姉ちゃんおはよう。」
朝食を食べ通常授業だ。
「そこの……おい…聞いてるか?」
「はい。聞いてますよ。」
「お〜言ったな。じゃあこれ答えて見ろ。」
「3B政策。」
「おぉっ。」
「オレの負けか。」
先生も本気で怒っているわけではない。一種の「定例行事」だ。週に一度はやっていることだ。
部活も終え帰り支度を整えた。
「お先です。」
「お疲れ様。」
校門を出ると
「あ、丁度良かった。一緒に帰りましょ。」
お姉ちゃんに会った。
「買い物して帰りたいんだけど……」
「一緒に行きましょう。」
「え?先に帰っても……」
「遠慮しないの。」
「ありがとう。」
「ところでさ、今日もまた歴史の先生と『バトル』したんだって?」
「知ってるの?」
「聞いたわよ。」
話しながら電車に揺られる。
「『定例行事』だからね。」
「ふふ。良い成績を取れる生徒の特権ね。」
「そうかな?」
「そうよ。あ、降りるわよ。」
制服のままスーパーに入る。
「卵と……今日のおかずを買わなきゃ。」
「あ、シリアル買い足してね。」
「そっか…沙耶を連れて来ればよかったね。」
「メールしたら?」
「うん。そうする。」
「あ、これ買って行こう。」
「ロールケーキと生クリーム?」
「今日のデザート。」
「あらあら……豪勢だ事。」
「ま、たまにはね。」