姉、僕、妹、妹 86
結局予選は二位通過。次は都大会だ。
「今日はお疲れ様。」
「ありがとうございました。」
一度学校に戻り、楽器を片づけるともう夕方だ。
「涼し〜。」
「そうだね。」
「先に帰っても良いわよ。疲れたでしょ?」
「ありがとうございます。」
ここは部長の好意に甘えることにした。
「ただいま。」
「ただいま〜。」
「お疲れ様。」
お姉ちゃんが迎えてくれた。
「すぐ夕飯作るね。」
僕は制服から私服に着替えると立った今買ってきた蕎麦を茹で、一方で天ぷらを揚げた。
「手伝おうか?」
「あ、お姉ちゃんありがとう。ねぎ刻んで、生姜もおろしてくれる?」
「はいはい。」
今日は
・冷やし蕎麦
・天ぷら(エビ、かき揚げ、青じそ、ナス)
・買ってきたパイナップルの缶詰
といういかにも手を抜いたメニューだった。
「お兄ちゃんはぁ疲れてるのに夕飯作ってくれてありがとぉ。」
と茜が言ってくれた。この一言が非常に嬉しかった。
「ありがとう。そう言ってもらえると救われるよ。」
「なんか危険だったぁ?」
「文句言われるかなってね。」
「もし私や沙耶だったらぁ多分全部出来合いのものか外で食べるよぉ。」
「なるほどね。」
その夜、僕は風呂を上がるとバタンキューで熟睡状態に突入した。
「あ〜お兄ちゃんもう寝てる〜。」
「これじゃぁ沙耶と私の寝るスペースがないよぉ。」
「二人とも、今日はお兄ちゃんに手足伸ばして寝かせてあげましょう。」
「じゃ〜沙耶は〜茜お姉ちゃんの部屋で〜……」
「布団を移動すると起こしちゃうから私のベッドで寝て良いわよ。」
「舞お姉ちゃんは?」
「私はそのリクライニングチェアで寝るから大丈夫。」
「舞お姉ちゃんありがとぉ。」
「ありがと〜」
「いいえ。疲れたでしょう沙耶。ゆっくり休みなさい。」
「は〜い。」
こうして地区予選は突破し、また文化祭の代休を含む連休は終わったのだった。