いよいよ出番だ。午前の部三番目、順番的には悪くない。
パチパチパチ・・・・・・
「曲目は『サウンドオブミュージックメドレー』です。」
僕は客席に頭を下げ指揮台にあがった。
４拍空振りして
パラパパパパ〜
プーパパララ〜ピポパ〜パ、パ〜
曲の入りはほぼ完璧だ。
タタタ〜タタ　タ〜タタ、タ〜
（１、２、ハイ）
プーパパララ〜ピポパ〜パ、パ〜
タァタァタ〜…タ　タ〜
テーマはばっちり入った。「ドレミの歌」へ突入する。
タタタタァラッタタ　パパパプ〜パパパ
キンカンコッコッコココ　ピポポポピポポポ
リ〜ラル〜ラリ〜ラ〜ル〜
課題だった横のつながりも問題ない様だ。
ラ〜タ　ラタラタラ〜
ル〜ラリ〜ラリ〜ラ〜ル
ラ〜タ　ラタラタタ〜
パ〜パ　パパパパパ〜
（前へ突っ込まないで……）
タタ　タ〜タ〜　タ〜タ〜　タ〜
タタタタタタタタ　ダンダン！
ちょっと速くなり始めたので「御転婆マリア」は敢て遅く指揮棒を振った。
タラララッタタラララッタタ〜ラ〜
そして、重くならないように徐々に速さを元に戻した。
（修正は出来たかな？）
タラララッタタラララッタ、タ〜　ラ〜……
タ〜タタ　タ〜　タ　タ〜　タ〜……
僕はビブラフォンに目を向け三拍子に切り替えた。「エーデルワイス」だ。
ポ〜ンポンポ〜ン　ポ〜ンポンポ〜ン
（ちょっと音が硬いな……）
しかし、
プ〜パパ　パ〜パ〜パ　パァ〜パァパァ〜
メロディーを受け取ったトランペットが曲調を柔らかくしてれた。さらにファゴットが上手くこの後を受け継ぎ、「私のお気に入り」へと入っていった。
全体が苦しそうになってきた。
タァラッタ　タァラッタ　タァラッタ　タ
タァラッタ　タァラッタ　タァラッタ　タラッ
一瞬息継ぎのため間を空けた。
タァラタ　タァラタ　タァラタ　タ〜
千切れた感じはなさそうだ。
タ〜ラ〜タ〜ラ　タタタ〜タタタ〜
「もうすぐ１７歳」も予定通りの出来で「全ての山に登ろう」へと進んだ。
ジャーンジャージャーンジャ　ジャンジャーン……
ジャーン　ジャーン　ジャーン　ジャーン
ジャジャジャジャジャン　ジャン　ジャァ〜ン!!
静寂の後
ザザァ〜ッ
予想以上の拍手が帰ってきた。僕は深々と頭を下げた。