姉、僕、妹、妹 72
ザラザラザラ
沙耶も普段通りシリアルを皿に入れた。
「あ、まだドライフルーツ切ってないんだ。少し待ってね。」
僕は急いでドライフルーツを細かくした。
「はい。」
「ありがと〜。」
そこに
「おはよぉ。舞お姉ちゃんはまだ寝てるのぉ?」
制服姿の茜がやってきた。
茜と沙耶を見送り時計を見るとそろそろ8時だ。
コンコン
「あの…お、お姉ちゃん……そろそろ…起きなくて…いいのかな?」
「んう?今何時?」
「まだ8時だけど…朝ごはんは…どうする?」
「え?私の分も用意してくれたんだ……じゃあこれから行く。」
「じゃあ待ってるね。」
僕はお姉ちゃんを待ちながらベーコンエッグを作った。
「ごめんね。」
お姉ちゃんがまさに起き抜けという感じでやって来た。
「謝ることじゃないよ。僕こそ安眠を妨害しちゃったかな?」
「良いのよ。」
「はい。丁度できたよ。」
「ありがと。」
夕方になったがなぜか沙耶だけが帰ってこない。部活で遅くなることは運動部である茜のほうが多かった。もちろんすでに茜は引退しているのだが。
「ちょっと遅すぎるわね……」
「僕迎えに行って来る。行きながらメールもするよ。夕飯は先に食べちゃってて良いよ。」
そう言って僕は沙耶の通う中学に向かった。
『まだ終わりませんか?兄』
とメールを入れておいた。
「もう校門が見えてくるのに返事さえ……」
ヴヴヴヴ
『丁度終わったよ。演奏会の追い込みだよ。』
と返信が来た。僕は校門前で待つことにした。
「あ〜迎えに来てくれたんだ〜。」
「最終下校ギリギリだろ。」
「心配した〜?」
「そりゃしたよ。」
沙耶はさほど疲れている様には見えないので安心した。
「早く帰ろう。ご飯出来てるから。」
「今日のお夕飯は〜舞お姉ちゃんが作ったんだよね〜?」
「そうだよ。」
「じゃ〜また面白いもの作ってくれた〜?」
「帰るまで楽しみにしておいた方が良いと思うよ。」
などと喋りながら帰った。
「ただいま。」
「ただいま〜。」
「アラ、お帰り。」
お姉ちゃんが迎えてくれた。
「沙耶を待ってて正解ね。着替えてらっしゃい。」
「待ってて〜?沙耶を〜?」
「もしかして夕飯まだ食べてないの?」
「舞お姉ちゃんも茜お姉ちゃんもごめんね〜。」
「みんなで食べたほうが美味しいわよ。」
お姉ちゃんは優しい笑顔で言った。