姉、僕、妹、妹 53
食事を終え家に着いた。
「お風呂はセットしておいて正解だったねぇ。」
「そうね。これから用意するのは大変だもの。」
「お兄ちゃ〜ん、一緒に入ろ〜。」
「僕は最後に入って明日のセットをするから先に入っててよ。」
「え〜。」
「沙耶ぁ我侭言わないのぉ。」
茜が珍しいことを言った。
(ちょっとは成長したか。)
「私だってお兄ちゃんと入りたかったんだからぁ。」
前言を撤回しよう。
「これでよしっと。」
お風呂を簡単に洗い終えた。明日の朝にスイッチを押せば良いだけである。セット完了だ。
「お疲れ様。」
テレビを見ながらコーヒーを飲んでいたお姉ちゃんが振り返ってそう言った。僕は
「お姉ちゃんが一番疲れてるでしょ?」
と返した。
「大丈夫よ。……さて、そろそろ寝ましょうか。」
お姉ちゃんはテレビを消し立ち上がった。
「そうだね。明日も早いし。」
「じゃあ布団敷いて来るわね。」
「茜と沙耶は?」
「茜の部屋にいるんじゃない?」
「じゃあ呼んでくるね。」
「ええ。」
僕は茜の部屋の戸をノックした。
コンコン
「茜、沙耶、二人とも居る?」
「居るよぉ。」
「沙耶も〜。如何したの〜?」
「そろそろ寝るよ。」
「はぁい。」
「歯磨きするね〜。」
布団に入って明日のことを考える。
(明日は最終日か……頑張らなきゃなぁ……)
「お兄ちゃん如何したの〜?」
「明日のこと考えてるだけ。先に寝な。」
「は〜い。」
茜の方はすでに規則正しい寝息を立てている。珍しいこともあるものだ。
「さて、早く寝よう。」
そう言って横になったときである。茜がこっちに擦り寄ってきた。
「んぅ……」
「何で抱きついてくるんだよ……。」
ちょっと強引に茜を引き剥がし再び横になった。
(今日はゆっくり寝かせてくれ……)
心の中で強く願った。