姉、僕、妹、妹 47
タ〜タ タタタタタ〜 タ〜タ タタタタタ〜
タ〜タ タタタタタ〜 タ〜タ タタタタタ〜
「クレッシェンド。」
タ〜 タ〜 タ〜 タ〜 タ〜 タ〜 タ〜
タタタタタタタタッ
タタタタタタタタ
僕は一瞬ティンパニーを鋭く睨み付けた。
ダンダン!
注文どおりの良い音が出た。
タラララッタタラララッタタ〜ラ〜
「御転婆マリア」への移行も問題なしだ。
タ〜タタ タ〜 タ タ〜 タ〜……
少し速度を落とした後三拍子に切り替える。「エーデルワイス」だ。
ポ〜ンポンポ〜ン ポ〜ンポンポ〜ン
良い形でビブラフォンが入った。
プ〜パパ パ〜パ〜パ パァ〜パァパァ〜
パ〜パパ〜パ パ〜 パ〜
トランペットもうまく受け取ってくれた。
(今日は絶好調だな。)
タァラッタ タァラッタ タァラッタ タ
タァラッタ タァラッタ タァラッタ タラッ
「私のお気に入り」もスムーズに行った。
(いけるぞ。)
ジャーンジャーンジャジャンジャーン!
ジャーンジャーンジャジャーン!
ジャーンジャージャーンジャ ジャンジャーン……
「3、4ハイ。」
ジャーン ジャーン ジャーン ジャーン
ジャジャジャジャジャン ジャン ジャァ〜ン!!
しばらくの余韻を持って僕は手を下げた。
一瞬の間のあと拍手が沸き起こった。僕は指揮台を降り頭を下げた。
「ありがとうございました。次回の演奏は本日11時です。またお越しください。」
部長が言い、幕が下りた。
「はぁ〜。」
僕はため息をついた。
「お疲れ様。」
「ありがとうございました。今日は皆さんとても良かったと思います。」
「そぉ?じゃあ二回目も頑張ろうね。」
そんなことを言いながら片づけをした。といっても二度目があるので舞台袖に運んだだけである。僕は茜の携帯電話に
『11時までなら空いてるよ。その後は11時半から3時まで。3時からはクラスの劇に出るから。』
と送った。
控え室で一休みしていると茜から返信があった。
『体育館の入り口にいるから迎えに来て。』
僕は茜を迎えに行った。
「あ〜居たぁ。」
「どこどこ〜?」
茜と沙耶は体育館の前に立っていた。
「二人とも朝一番から来たんだ。お疲れ様。」
「見たよ〜。かっこ良かった〜。」
「沙耶、ありがとう。」
「お兄ちゃん、沙耶と一緒にここで待ってたのにどうやって外に出たのぉ?」
「演奏者は裏から出たんだ。出入り口は混雑するから。」
「ふ〜ん。」
「さて、行くか。」
まずは茜の好きそうな映画をやっている映像研究会へ向かった。