姉、僕、妹、妹 43
早くも文化祭前日になった。
「はぁ〜皆何時頃に集まるかな?」
「文化祭の実行委員、吹奏楽部に割と多いからね。」
音楽室で既に来ている部員達がぼやいている。僕は
「あの……今居る部員だけで合わせませんか?」
と言った。
「そうね。文化祭当日のミニコンサートに向けて練習しましょう。」
「はい。」
「それに、ミニコンサートは合同演奏会の予行だからね。」
部員達は椅子を持って演奏体型となった。
「じゃあ……頭から行きましょう。途中途中で切りますよ。ワン、ツー、スリー、フォ、ワ」
パラパパパパ〜
タタタ〜タタ タ〜タタ、タ〜
プーパパララ〜ピポパ〜パ、パ〜
タァタァタ〜…タ タ〜
「はいストップ。大変結構だと思います。ただ追加しますと……」
ガチャ
「あれ?」
「あ、部長、お疲れ様です。」
「もう合奏してるんだ。続けて。」
「部長が用意されてから話してもいいですか?」
「う〜ん…皆はそれで良いの?…そうじゃあ用意させてもらうわ。」
部長は楽器の準備を始めた。
「では先ほどの話ですが、大きくしながらrit.(段々ゆっくり)にするときちょっとバラける感じがしますね。今日は調子が出ませんか?」
「バラける?」
「楽器によって早さがほんの少し違うんです。そうなるとズレで聞こえるのでちょっと嫌な感じがしますね。」
「ふ〜んなるほど……」
「その辺に注意してもう一度頭からやっていただけますか?」
「あ、じゃあ私は隣で楽器を鳴らして暖めてくるわ。」
部長は席を立った。
「ワン、ツー、スリー、フォ、ワ」
パラパパパパ〜
プーパパララ〜ピポパ〜パ、パ〜
「心の中で歌って。そのまま…」
タァラ〜タ〜ラ〜タ〜
タタタ〜タタ タ〜タタ、タ〜
「良くなりました。そのまま次へ!」
タタタタァラッタタ パパパプ〜パパパ
キンカンコッコッコココ ピポポポピポポポ
「そこから滑らかに。」
リ〜ラル〜ラリ〜ラ〜ル〜
ラ〜タ ラタラタラ〜
ル〜ラリ〜ラリ〜ラ〜ル
ラ〜タ ラタラタタ〜
「金管の低音で全体を支えてください。」
パ〜パ パパパパパ〜
「poco a poco(少しずつ)cresc(段々強く).ですよ。」
いつの間にか外が暗くなり始めた。
「もうこの辺で終わりにしましょう。」
部長が言って今日の練習は終わった。
「お疲れ〜。」
「お先で〜す。」
「文化祭頑張ろ〜ね〜。バイバ〜イ。」
部員が音楽室を出て行く。
「あ、部長。」
「ん?」
「明日のコンサート、僕は一足先に居た方がいいですよね?」
「別に構わないわよ。朝一番だから。」
「そうですか?でも……」