姉、僕、妹、妹 211
カアァ〜ン
打球はライトの頭上を越えフェンス直撃。
「よし!」
二塁打となった。さらに次のバッターが送りバントでランナーは三塁に進んだ。
「次お前だぞ。」
「え?」
僕の打順が回ってきた。責任重大だ。
初球
ブゥン
「ストライク!」
第二球
ズバン
「ストライクツゥ!」
あっという間に追い込まれた。
そして第三球
「お兄ちゃん打って〜!!」
沙耶が叫んだ。体が勝手に球に反応した。
カキン
打球は三遊間を抜けるゴロのヒットとなった。三塁ランナーホームイン。先制である。
「やった〜流石お兄ちゃんだ〜。」
ベンチで沙耶が喜んでいる。僕はベンチ全員に手を振った。
「ナイスバッティング!」
「体育の成績は悪いくせによく打った。」
「いいぞ〜!」
しかし、1点ではセーフティーリードとはいえない。追加点が欲しいところだ。僕の次の打者は三振だったが、その次はノックを務めた野球部の先輩だ。
「かっ飛ばせー!」
「追加点だ。」
「センパイ頼む!」
「私のためにも打ってくださ〜い。」
その初球
キラン
目が光った。
カキーン
「行った。」
打った瞬間手応え充分の打球はセンターのバックスクリーンを越え、グラウンドの外に球は消えた。
「ホームランだ!」
そう言った彼はゆっくりと打球の感触を確かめる様にベースを一周した。
「かっこよかったです〜。」
「ナイスホームラン。」
「流石野球部!」
「先輩最高!」
彼は口々に褒め言葉を言うチームメイトと笑顔でハイタッチをかわした。
この回僕のタイムリーヒットと野球部の先輩の2点ホームランで合計3点先制である。
「よ〜し!がんばるぞ〜。」
沙耶は3点の援護を貰い、上機嫌でマウンドに駆けて行く。
しかしこの回は相手の上位打線だ。
「え〜い!」
カッキーン!
次第にタイミングが合ってきたこともあり打球は高々と上がった。
「オーライ!」
パシッ
「アウト。」
レフトフライであった。
「ビックリした〜。」