姉、僕、妹、妹 129
10月17日、学校から帰ってくるとすぐさま既に用意してあった旅行セットを持ってバスに乗る。
「どういう席順にする?」
「お兄ちゃんのぉ隣に座るぅ。」
「沙耶も〜」
「茜と沙耶でじゃんけんだね。」
茜が勝ち、茜は通路側に座った。
「沙耶はどっちが良いかしら?」
「う〜ん……舞お姉ちゃんの好きで良いよ〜。」
「じゃあ私が窓側に座らせてもらうわ。」
バスは発車した。
「どこ行くのぉ?」
「遊園地併設のホテル。」
「ね〜なんで夕方から行くの〜?」
「ついた頃には夜、そこで寝て朝一で入れば目一杯遊べると思ってね。」
「ふ〜ん。」
「アンタは今のうちに寝ておいたら?」
「え?」
「どうせ今夜は茜も沙耶もはしゃぎすぎて寝られないと思うわ。」
「せっかく私がぁ隣なのにぃ。寝ちゃダメだよぉ。」
バスの中では茜の相手をする羽目になった。
「でねぇ、その子ったらぁ彼と上手くいくようにぃ私に協力して欲しいって言ったのぉ。」
「で、上手く言ったの?」
「私は彼にぃ『あの子良い子だよ』とか言ったんだけどぉ、他に好きな人が居たんだってぇ。」
「ふ〜ん。」
「それがねぇ……」
「ん?」
「私だったのぉ。」
「ドロ沼だね……」
「私はぜ〜んぜん興味ないからぁ『他に好きな人がいるんだって』って伝えたらぁ、その子泣いちゃってぇ、慰めるのに大変だったんだよぉ。パフェとぉケーキのやけ食いにつき合わされてぇ。」
「その子の奢りか?」
「私が慰めるのに奢ったんだよぉ。」
「それは災難だったね。」
「ホンット。でもねぇちょっと罪悪感もあるんだぁ。」
「何で?」
「彼がぁ私を好きだったって事言わなかったしぃ、彼が私の事好きだって事はぁ知ってたからぁ……」
「中学生の初恋か……」
「お兄ちゃんは良いよねぇ。」
「何で?」
「周りに可愛い女の子が3人ずっと居てぇ皆が好感持ってるからぁ。」
「う〜ん……」
「お話が盛り上がってるトコ悪いけど、そろそろ着くわよ。降りる準備しなさい。」
お姉ちゃんが振り返りそう言った。
「お姉ちゃんのおかげで助かったよ。」
「どうして?」
「茜の一言に如何返して良いか迷ってたところだから。」
「あらあら。」
「ね〜今日はどんなお部屋なの〜?」
「ちょっとリッチな部屋よ。」
「わ〜楽しみ〜。」
「ねぇ舞お姉ちゃん、食事はついてるのぉ?」
「ええ。」
「凄いねぇ。」