いよいよ出番だ。
（よし！）
僕は心の中で言い指揮台にあがった。そして指揮棒を振り上げた。
「１、２、３、４。」
タン、タンタタ　タンタンタン
タン、タンタタタ〜
タン、タンタタ　タンタンタン
タタタタ　タンタンタン
『さんぽ』に入る。
タッタッタ〜　タッタッタ〜
通常より軽く気持ちいメロディー運びができているように感じた。
タッタタッタ　タッタ〜タ〜
『君を乗せて』に向かう。
タラタ〜タ　タ〜タ〜タ〜（タァララララララ）
タタタ〜タ　タ〜ラ〜ラ〜（タタタ〜）
沙耶のクラリネットがメロディーに色を添える。そしてグロッケンがメロディーを引き継ぎ、
カンカン　カ〜ンカカ〜ンカ〜ン　カンカン　カンカン
カンカンカンカン　カン　カン
『もののけ姫』のオーボエ、クラリネットが出てくる。
ルララララ〜　ララ〜
それをトランペットにバトンタッチした。
ララ　ラララララ〜ラ　ラ〜ラ〜ラ〜
タラララ　ララ〜ララ〜
『ポニョ』に入る。
（３、４！）
と心の中で言う。
タァンタタ〜タタタ　タタタタタ〜
タァラッタ　タァラッタ　タァラタタタ〜（ピポポ）
タァンタタ〜タタタ　タタタタタ〜
タァラッタ　タァラッタ　タァラタタタ〜
ジャァン
『カントリーロード』を低音の金管楽器が
タラタ〜　タララァタ〜
タラタ〜　ラタラ〜
と吹き、フルートが引き継ぐ。
タ〜ラ　タラ〜タ〜　タラタ〜タ〜ラ〜
タラタ〜タ〜
そしてエンディングだ。
タララララ〜
タララララ〜
タララララ〜
タ　タッタッタッタッタッタッタッタ
accel.（段々速く）がうまくかかった。
ダァ〜ン　ダダ〜！　ダァ〜ン　ダダ〜！
ダァ〜ン　ダダ〜！　ダァ〜ン　ダダ〜！
うまくcresc.（だんだん強く）していく。
タッタッタッタッ
タッタッタッタッタ〜
タ〜ン　タタァ〜ン！
僕は両手を挙げ、そして音を切った。


控え室に戻り
「お疲れ様。」
と部長が言った。
「じゃあ指揮者から意見をもらおうかしら。」
「はい…分かりました。あの…皆さん本当にありがとうございました。今日の演奏はとても良かったと思います。」
「そう。良かった。それで？」
「どのパートも今までで一番だったと思います。暫定一位ですし、せっかくここまで来たので全国優勝を目指しましょう。本当にありがとうございました。」
「ふふっ頭下げすぎよ。」
こうして演奏が終わり、後は結果を待つのみとなった。