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ヤンデレ妻日記
官能リレー小説 - 若奥さん

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ヤンデレ妻日記 35

さらに窓ぎわの美しい夜景を背景に立っているのは橘さんである。なんか、かっこいい。
「佐倉舞さん、登録されている情報がちがってますね。詳しく話を聞かせていただけますか?」
俺はドアをロックした。
「これは、どういうことよ!」
「ハニートラップ」
ベットから降りてきた人妻が旦那ちゃんの前に両手を組んで立った。
「話し合いをしましょう。立ち会い人に橘さんと彼を頼んだの。彼は探偵なの」
探偵にされてしまった。
橘さんの入れ知恵かもしれない。
「この!」
手を上げて平手打ちにしようとする旦那ちゃんの手を俺がうしろからつかんだ。
「離してよ!」
「ダメだ、叩いたりするなら離さない」
人妻舞はその光景を映画みたいでかっこよかったとあとで言っていた。
「だましたのは悪かったですけど、クラブの管理人というだけでなく、あなたの奥さんの友人として、話をさせてもらいたいのです」
橘さんは室内の椅子に旦那ちゃんをを座らせた。
俺はドアのそばで立っていた。
「私のブログを読んでくださっているのは、舞さんから聞いています。……あなたも私と同じなんですね」
「そうです。でも、あなたみたいにカミングアウトして生きる勇気はありません」
「じゃあ、なんで私にバラしたの?」
それは俺も知りたい。
「あなたを利用しているだけ。でも同意したのはあなたで、強制はしてないはずよ」
「お前、舞の気持ちをわかってるのに、まだそういうこと言うのかよ」
ボーイッシュな舞が怒った。
俺は舞のそばに行った。
「舞はな、自分のことをわかっても結婚してほしいって言われてうれしかったんだ。それなのに、お前は舞が一生懸命、お前の奥さんらしくしようとがんばったのに、踏みにじるような態度しか見せなかった。ひどすぎるんじゃないか……」
人妻は言いながら涙目になっていた。
「一生懸命だから、余計に嫌だったの。あなたにはわからないでしょうね」
「……私にはわかりますよ。隠しておきたい人がいるんですね。でも、舞さんはあなたを受け入れて理解しようとしてくれた味方じゃないですか。女性のことを性的に愛せないとしても、夫婦として理解しあう道もあったんじゃありませんか?」
「私は橘先生みたいに、本当のパートナーと出会いたいんです。舞のパートナーは私じゃないのがわかってるのに、家にいる時まで自分をごまかすのは嫌なんです」
「一緒に暮らしていて、おたがい嫌なら別居なりすればいいじゃありませんか」
「好きでもないのに結婚するなんて、おかしいんだよ。離婚しようよ」
ボーイッシュな舞が言った。
「離婚はできない」
「何でなの、私といたくないんでしょう?」
俺はそばで黙って話を聞いていた。
「離婚すれば、有名な方ですからね。御苦労もあるとは思います」
この数年で急成長した会社を運営する実業家の離婚を、芸能記者がスキャンダルとして報道することは予想できることではある。
「舞……橘先生に何を話したの?」
「佐倉真さん。離婚したくないのなら、舞さんを大事になさるべきだったのではないでしょうか」
橘さんは、旦那ちゃんの顔をまっすぐ見つめて言った。

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