PiPi's World 投稿小説

ヤンデレ妻日記
官能リレー小説 - 若奥さん

の最初へ
 27
 29
の最後へ

ヤンデレ妻日記 29

「推理小説ならこのあとは、殺人事件かな」
「すると、私はあなたが犯人でアリバイ工作の証人にされてるわけですね」
「家の前にパトカーが停まっている感じで」
「ちょっと事情を署のほうで聞かせてもらえませんか、とか言われて連行される」
「刑事さん、俺はやってませんよ、家にいませんでしたから」
推理小説ごっこをしながら家に橘さんを連れてきた。その話をすると人妻はこう言った。
「ねぇ『私は貝になりたい』っていう話を知ってる?」
「えっ、俺、絞首刑にされるのか」
橘さんはそれを聞いてくすくすと笑った。
昼食を終えて俺が洗い物を終わらせてリビングにいる間に、橘さんを人妻は旦那の部屋に案内していた。
「たしかにゲイの人やカミングアウトしていない女装が趣味の人は結婚して自分のことを世間から隠そうとすることは、よくある話です」
「そうなんですか?」
「ええ、まあ。むしろ不倫相手を夫が留守の間に泊めているほうがめずらしいことです」
俺と隣に座って俺の腕に抱きついている人妻を見て、橘さんが言った。
「私、離婚する気ばっちりですから」
「浮気しても離婚してくれるかどうか、むしろ、妊娠したとしても自分の子として認知して、利用するんじゃないかと思いますよ」
たしかに子供までいればゲイであることを隠すには完璧だろう。
「世間の常識からすれば、不倫は非常識かもしれませんが、それで相手が離婚を申し出てくるかどうか。他に好きな相手がいて、それでもかまわないか確認してみるのが早いと思いますよ」
「そうですね」
「それに旦那さんはいくつかのサークルに登録しているようです。私も過去にサークルに登録して、出会った人とパートナー契約を結んでいたことがあります」
「男女なら愛人契約みたいなものです」
橘さんは、はっきりとごまかさずに話す。
橘さんも整形手術の費用がほしくてパートナー契約を結んだ。その相手がアダルトショップの店長で二人は恋に落ちた。
「旦那さんが割りきってサークルで別のパートナーと、つまり他の男性との性交渉を持っている可能性は高いと思います」
「あー、旦那ちゃんが私の知らない男に抱かれて気持ちいいことしていても、気にならないけどね。ゲイなのを隠して、好きなふりをしてだまそうとするよりかはましだよね」
「女の人より、男の人が好きなら、しょうがないかなって思うんです」
人妻の意見を聞いて、橘さんは首をかしげた。
「過去より今、どう思っているかは大事なことです……あの、答えたくなければ答えなくてもいいのですが、失礼かもしれませんが、なぜ女性を愛せない男性と結婚したんですか?」
それは俺も聞いてみたい。
「男でも女でも関係なく私を好きになってくれたと思ったんです」
「私はそんなことないってわかってたけど、働かなくても結婚しているだけでお金くれるし、ルームシェアみたいな感じで、お互い干渉しないことになってる」
「今は?」と橘さんが言った。
人妻が俺の顔を見つめて「好きな人、見つけちゃいましたから……」「すっごく、すけべだけど」と人妻が笑顔で言った。
俺は照れくさくなる。
「旦那さんも本当に大切なパートナーが見つかればいいんですけどね」
橘さんはそう言って、珈琲を飲んだ。

SNSでこの小説を紹介

若奥さんの他のリレー小説

こちらから小説を探す