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ヤンデレ妻日記
官能リレー小説 - 若奥さん

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ヤンデレ妻日記 16

初めての競馬。
俺は出走前の馬がお披露目されて歩いていくのに見惚れていた。筋肉とかまさに彫刻のように美しいのに、生きていて、出走前で興奮している馬や、しぶしぶ歩いている感じの馬もいる。
人間と変わらない感じがした。
「あれがいいな。なんかかっこいいぞ」
「どれどれ、あれ牝馬だよ。馬まで牝馬がいいなんて、さすがすけべ……」
人妻はそう言ったが、その牝馬の馬券を俺に買ってくれた。
「あれが一位になったらどうする?」
「いやぁ、無理じゃないかな。一緒に走る馬がかなり強いから」
だがギャンブルに絶対はない。
絶対の本命馬にこそ波乱が起こりうるスポーツ。
ゲートが開き、先行三番手で好位を進むイシンアルファは最終コーナー入口で早くも先頭に躍り出た。
「新聞予想の本命馬」イシンアルファ。
俺の予想したユリアファンタジーは、イシンアルファを見ながら、五番手で最終コーナーに入り早めの仕掛けで捲りに入っていた。
追撃体勢に入ったユリアファンタジーは、残り200Mでイシンアルファに並びかけた。
しかし、ここからの強さがイシンアルファの持ち味であり、激しい叩き合いの中でも、頭ひとつのリードを保ちながら残り100を切った。
イシンアルファの完全なる勝ちパターンのこの場面で、ユリアファンタジーはがんばった。
最後の一叩きで見事にイシンアルファをかわし、ハナ差前に出てゴール板を駆け抜けた。
まったくもって世間から期待されていなかった低評価の牝馬がこのレースを制したのである。
「ユリアすげぇな」
「もしかして、名前で選んだの?」
「だって南斗最後の将だからな」
「ビギナーズラックってあるんだね」
人妻はあきれたような口調で言った。
「黒王みたいな馬はいないか?」
「ラオウみたいに体の大きい騎手いないから」
俺は人妻が勝ったり負けたりしている間、レースを観戦したり、必死に応援している人たちを見たりして雰囲気を楽しんでいた。
「パチンコとかスロットは台選びが重要で、競馬は馬と騎手選びが重要ってことか」
「強い馬の血統とか、競馬はいろいろ知ってるともっとおもしろいんだよ」
ユリアファンタジーはのちに海外G1馬を倒して名馬として、競馬ファンの心をつかむ。
ユリアファンタジーの母馬のユリアクリスタルはあまり成績は良くない馬だった。しかし、種馬の牡馬は人気はあったが、若く故障のために引退した馬で、その牡馬の馬主が自分の名馬の子というこだわりでユリアファンタジーを買い取った。
種馬はキタノキング。
イシンアルファの父馬であるイシンホマレとのレースを最後にキタノキングは引退した。
イシンホマレが勝利し、キタノキングは惜しくもハナ差で二着であった。
娘の牝馬が父のキタノキングが敗れたイシンの血統の牡馬に勝ち、雪辱を晴らしたレースだった。
「そう考えるとおもしろいな」

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