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他人のモノになった、あの娘
官能リレー小説 - 若奥さん

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他人のモノになった、あの娘 72

「飯食ってた美緒から聞いた話なんだけどな、どうも華は別の意味で壊れかけてる」
「というと?」

千秋が説明する。
華は僕らとは違う、少し遠くの進学校に通い、さらに大学を経て大手企業に就職したらしい。
同級生の中では凄くまっとうな人生を歩んでいる子のはずなのだが。

「先日、美緒は深夜にスーツ姿でふらついてる華に会ったそうだ」
「ああ、それって…」
なんとなく想像はできた。

「終電がなくなるまで残業して、タクシーで自宅近くまで乗って帰る。それが日常だったらしい。美緒は今まで何度も目撃してたらしいから、就業記録見ると大変なことになってる可能性がある」

「ちょっと待て」

千秋の言葉に腑に落ちない所があった。

「その企業は株価もチェックしてるし、大学の同期も勤めている・・・ハッキリ言って超優良企業だぞ・・・そんな深夜までの残業なんて無い筈だ」

そこに勤めた奴と何度か飲みに行った事があるが、給料はいいし残業もほぼ無いと聞いた事がある。
勿論全く無い訳では無いが、入社2年目で残業が深夜になるぐらい大きなプロジェクトを任されるとかはありえない。

「そうか・・・副業やってるな」
「?!・・・それか!」

深夜に帰宅と聞いて浮かんだのがそれ・・・
千秋も何かに気付いたようだ。

「恐らく華の副業は水商売だ・・・給料いい筈の会社勤めで副業までするんだから金が必要と言う事・・・千秋、華の私生活や家族関係を探ってくれ・・・僕は会社内での話を聞いてみるし、複数に関してはすず辺りに探らせよう」
「うん、分かった・・・思ったより大事かもね・・・」

この時点で僕は悪い予感しかしていなかった。
華は多分、かなりタチの悪いものに引っかかっているんだろうと思った。

そんな話をして数日後・・・
オフィスで僕と千秋とすずはこの件の話をしていた。

「華の勤怠を調べて貰ったが・・・勤務態度は非常に真面目で残業も無し・・・ただ最近常に疲れた顔をしてるって話だ」

華の会社での評判は悪くは無い。
凄く良いとも言えないが、真面目に仕事をこなしてミスも少ないとの評価らしい。

退社後の足取りは掴めたわ・・・店も特定したよ」

そう言ったのはすず。
上手いことやってくれたようだ。

「店は泡風呂ね」
「ソープか・・・どんな店だ?」
「ホストに狂って借金背負った女の子が堕とされるって有名な店ね・・・ホストのATMなんて呼ばれてる所よ」

成る程・・・
悪い予感はほぼ当たりって事か。

「家族関係や私生活は?」
「華はデキ婚して今年出産・・・華の母親と旦那と子供達でアパート暮らしみたい」

子供達って事は双子か・・・
そう思いながらも、一番気になる事を聞く。

「旦那は?」
「ホスト、売れっ子とは程遠いけど・・・華の姓に入ってるみたいね」
「やっぱりな・・・ソイツ、ヤバい所で金借りてるぞ」

やはりソイツが元凶のようだ。
しかも多重債務持ちのホスト崩れと言う一番タチの悪い奴だ。

「華の姓になってるのは、借金を消す為・・・それで消せないヤバい所は、華をソープで働かせてチャラにするって事なんだろう」
「それはマズいね・・・」
「マズいよね、他人事じゃなく」

同じくタチの悪い男に引っかかった千秋とすずにとっては他人事とは思えないんだろう。

「華の実家や資産、既にその男に食い物にされてるんじゃないか?・・・その為の婿入りもあるだろうしな」
「ちょ?!・・・かなりマズいぞソレ!」

ホスト堕ちの典型だ。
食い物にされた挙句、資産も根こそぎ奪われて風俗堕ち。
しかも資産なんて全て食い潰されて取り戻す事はほぼ不可能と言うコンボ付きだ。

「華の母親自体も食い物にされてんなこれ・・・子供の1人もソイツが母親の方を孕ませたのかもしれないな」

その予想はほぼ当たりだろう。
これはかなり難しい案件だ。

「まずどっちかが目覚めるか、この状況から抜け出したいと思ってるかが問題だ・・・その男は面倒になると2人を捨てて逃げるだろうしな」

「男が逃げるだけならまだマシだと思うな。これが華の勤めてる会社にバレたら大問題になって取り返しのつかないことになっちゃうよ」
「もちろん、それも避けないといけない」

とにかく華とその家族を救うために何とかしないといけない。
美緒に華と会った場所と時間を聞いて、教えてもらう。さすがの美緒も華の異変には感づいていたようで心配もしていた。

その日の深夜、終電もとっくに過ぎた午前2時。
僕は千秋とすずと一緒に、美緒が華と出会った住宅街に足を運んだ。

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