他人のモノになった、あの娘 37
また会いたいねーなんて言う未来と愛海。
僕だってそうだ。
「佑梨の女優の道を作ったのも千秋だもんね」
「私は法律的な知恵を貸しただけさ・・・失うものの何も無い佑梨だから、枕でも仕事取りに行ったりAV紛いの仕事でも受けかねない状況だったからね」
草野佑梨は水無瀬梨花名義で水着グラビアからスタート。
四年程前に女優として銀幕デビューを果たし、それがハリウッドの監督の目に止まり大抜擢で、海外での映画出演となった。
そこからは主役は無いものの重要な助演をコンスタンスに勤めてスターへの道を駆け上っていた。
今じゃ、世界のリカと呼ばれてるらしいが、僕はそれが佑梨に結びついていなかった。
「凄いよな・・・佑梨もだけど、薫も」
小学生で天才スケーターと呼ばれた薫は、中学時代に不調に陥っていた。
成長期に入った身体のせいでバランスを崩したと言われてるが、未来によると坂東に襲われて女になってしまったのが大きいらしい。
そんな事があって、スケート界から一旦消えた薫だったが、高校時代から少しずつ復活。
大会でも中位ぐらいの位置をキープできるまでとなった。
無論、天才と呼ばれた小学生時代からすれば物足りないが、あの世界はそう言う早熟が沢山いるから埋もれた一人と言う扱いだった。
だが、大学に入り一変する。
かつてのメダリストであり引退して指導者となったロシア人が薫のコーチとなると、成績が激変。
女子では成功率が低いとされてきた4回転ジャンプを次々に成功させ、大会でも上位へ・・・
ついには国代表となり、世界大会で優勝。
今や世界トップクラスのスケーターである。
「まあ、坂東とのセックスで潰れて・・・コーチとのセックスで復活したらしいわ」
「つくづく坂東って厄病神だな・・・」
「今更何を・・・あれは悪の権化だ」
まあ、2人がそれぞれ良い道を歩いているなら言う事は無い。
そんな話をキッチンでしてから、旅行鞄を持った千秋をウォークインクローゼットに案内する。
「ここで住んでくれるんだな」
「うん・・・その為の荷物・・・」
そう答えた千秋を僕は背中から抱き締める。
「千秋は、もう僕だけのものだ」
「大輔……」
僕の腕の中で千秋が何かモゴモゴと言いたげな様子だったが、気にせず抱きしめる。
「未来から聞いたよ…あの彼のこと、今も忘れられないんだろ?それなら、僕が、忘れさせてあげる」
「大輔………」
千秋が僕の腕から無言で抜け出す。
そしてジャケットを脱いで、タイトスカートを脱ぎ去る。
「男に抱かれた夜は・・・夢の中でアイツに犯される・・・」
こちらに背を向けてブラウスを脱ぎながらそう言う千秋。
「中にはアイツを忘れかけるぐらいいい男もいた・・・そう言う時程、アイツに犯される夢は鮮やかに脳裏に焼き付く・・・」
千秋はそう語りながらブラウスを脱ぎ、タイツや下着と脱いでいく。
僕は千秋が語るに任せていた。
「大輔に抱かれた時・・・今までで一番幸せを感じれた・・・自分でも大輔が好きだって思えて嬉しかった・・・」
裸になってアップで纏めた髪を解く。
千秋の表情は見えない。
「大輔に抱かれて幸せな中・・・夢でアイツに犯された・・・凄い快感で、私は悦んで・・・アイツに孕めと言われて悦んでいた・・・」
千秋の心に刻まれたものの重さは僕の想像以上だった。
まだ千秋はその男のモノのままなのだ。
「目覚めたら、凄い喪失感で泣いてしまってな・・・未来から焦らないでと励まされてしまった」
部屋着用のワンピースを着た千秋。
ノーパンノーブラは気になるが、髪を下ろすと中学時代の千秋の雰囲気になる。
「夢でソイツに可愛がられるなら、現実は僕が可愛がってあげるよ」
着替えた所で僕は再び後ろから千秋を抱き締める。
千秋は少し身を震わせていた。
「こんな調教済みの女だけど・・・その言葉に甘えさせて貰っていいかな?・・・」
「ああ、たっぷり甘えればいい」
クルリと千秋を回して向かい合うと、唇をしっかり重ね合わせる。
そうだ、現実で千秋を可愛がってやればいい。
夢は所詮夢なのだ。
「愛海はちゃんと大輔だけが可愛がる女にしてあげて欲しい」
「おいおい、本当なら愛海だけを愛してくれる男に任せるべきだろ?」
「愛海はそんな事求めないし、私や未来も求めないよ」
愛海に関してはかなり迷ってる。
むしろ処女と聞いたから迷いが深くなったのかもしれない。
「実は未来を離婚させて3人で可愛がって貰おうって計画したのは愛海だったんだ・・・愛海は大輔が成功してる事も知ってたからね」