他人のモノになった、あの娘 164
「ワカが坂東のとこのデカい犬に組み伏せられてやられてるの見て、私一度吐いちゃってさ……その時は佑梨や紗英にも迷惑かけちゃったな」
みんなあれ見せられてたのか…
「で、ワカが大輔と一緒にいるのはなんで?」
「大輔はボクのご主人様だからさ。あ、ボクだけじゃなくてみんなのご主人様だね」
「ど、どういうことよそれ」
「まあ・・・こう言う事さ」
部屋に入ってきた千秋を見て真央が目を丸くする。
大きなお腹で髪を下ろした千秋は、皮肉屋とかキャリアウーマン的な雰囲気は無く、優しそうなママと言ったイメージしか浮かばない。
それは普段の千秋のイメージからはかけ離れ過ぎている。
「もしかして・・・」
「もしかしなくても大輔の子さ」
その千秋の言葉に真央がホッとする様子が窺われる。
「色々あってどん底に落ちた子が・・・大輔のお陰で何の心配も無く暮らせてるのさ・・・だから喜んで奴隷にぐらいなるよ」
そんな千秋の言葉に『幸せなんだね』と真央も微笑む。
それは真央も同じで、幸せを得れたのだろう。
「ただね・・・こうやって幸せなんだけど・・・どこかで坂東を忘れていない自分がいたりするわ・・・アイツの事、どうやっても嫌いになれない自分がいるの」
これは坂東の子を産んだ女子達共通の感覚みたいな所がどこかにある。
千秋は前の男、和佳子は犬にそれを感じてると言う違いはあるが、共感はできるみたいだ。
「誰にだってそれはあるんじゃないか?私だって昔の男に散々犯されてイキまくる夢を今でも見る」
「ちーが男の話するなんて意外ー」
「マオマオは知らないだろうけどさ、ちーってベッドの上じゃすっごく従順なメス犬さんなんだ……ぐえええ」
「余計なことを言うな」
真央が千秋と和佳子のやりとりを見て微笑む。
「そんな2人をメス犬にしたワケ?やり手ですな大輔さんや」
そんな真央の言葉に千秋と和佳子が顔を見合わす。
そして真央を見てニンマリと笑った。
「私達だけじゃないんだよなぁ」
「そうよね、絶倫過ぎて十人ぐらいじゃ足りないもの」
真央が目を丸くして僕を見る。
「確かに・・・あの頃でも無尽蔵に見えたもの・・・」
「そうだったっけ?・・・2人相手に相当満足感があったけどな」
飲んでたのもあるが、そこまで覚えていない。
だけど、かなり満足感はあった。
「私達は2人がかりで終わりが見えなかったのよ・・・ちょっとした恐怖だったわ」
「それはすまんことした」
恐怖と言いつつ笑っている真央。
あの出会いが彼女達を真っ当な道に戻したらしく、そう言う意味では良かったのだろう。
惜しらむは彼女達の正体に気付かなかった事だ。
「ジュリアも連れてくりゃ良かったのに」
「あの子はウチよりもラブラブ過ぎて他の男のトコに連れて行く気がちょっとねぇ…まあ大輔の名前出せば変わるんだろうけど」
「ジュリアが幸せだったらそれでいいさ」
そんな楽しい会話をしていると、カフェスペースが少々騒がしくなる。
「マオマオだー!」
「うわぁ、久しぶりー!」
「わー、ミク、るー、お前らもかー!」