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他人のモノになった、あの娘
官能リレー小説 - 若奥さん

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他人のモノになった、あの娘 140

「ここで・・・するの?」
「いや、ここでお話しするのさ」

少し残念そうにする恵美子と和佳子。
そんな様子が可愛すぎるのだが、それが目的でない。
彼女達が少しでも思い出してくれるキッカケになればと、少し散策しながら雑談にふける。

そんな風に散策していると・・・

「大輔くぅんっ?!」

誰の叫び声か分からなかったが、ドンと強い衝撃に身体が吹き飛ばされる。
叫び声に反応したからか、何とか受け身らしきものが取れて、更に飛びかかってきたものを避けれた。

「坂東っ?!」

その声で飛びかかってきたものを見る。
大柄な体格のその男は、確かに坂東だった。
血走った目で此方を睨んでいた。

「テメェかぁ!・・・ブッ殺してやるっ!!」

殺意の塊を僕にぶつけてくる坂東。
コイツの存在を忘れかけていたが、コイツは全てを失いつつありながらも、ここで生きていたらしい。

横目で華達が4人で少し離れた所に居るのを確認した。
奴はこっちだけに意識を向けているから、4人に襲いかかる感じではないのにホッとする。
だが、ピンチには変わりない。

大分腹は出てきた感じだが、桁違いのパワーは相変わらずだった。
あの頃の「モヤシ」呼ばわりされてた僕だったら無傷なんかじゃ済まなかっただろう。
得た財産を筋トレに使ったこともよかったのかもしれない。

だが、今はどうする。

あの頃とは力差は少なくとも縮まったが1対1では確実に分が悪い。
多少危険を伴ってもサンドバッグに徹して華か絵梨香が通報するのを期待するか。
いや、敵は坂東一人だと決めつけるのも危険だ。どこかから取り巻きが出てきて彼女たちに危害を加える可能性もある。


坂東がじりじりと近寄ってくる。
時間はない。

すると―背後に何者かの気配を感じた。
まさか、取り巻きが?

…………違った。だが―


「………わ、和佳子?」

スパーンと言う音と共に吹き飛んだのは坂東だった。
その向こうに見えたのは棒を構えた和佳子だった。

「クソがぁぁぁっっっ!!」

立ち上がり和佳子に襲い掛かろうとする坂東が再び転げる。
僕には見えていた。
同じく棒を持った恵美子が坂東の脚を払ったのだ。

「ワカッ!エミッ!」

僕が叫ぶのと同時に坂東が起き上がる。
坂東が立ち上がると和佳子や恵美子は余りに小さく見えた。
だが・・・

ドゥンと坂東が弾け飛び、斜面をゴロゴロと転がり落ちていく。
小さいとは言え、和佳子と恵美子の渾身の突きで坂東が吹き飛ばされたのだ。

向こう側で華と絵梨香が目を丸くしてポカーンと今の状況を眺めている。
おそらくなにも理解できてないと思われる。
僕がまさにそれだからだ。

「………相も変わらず、野蛮な男でありますねぇ」

冷たい、凛とした声。
恵美子だった。
鋭い視線を坂東に向けている。

「大輔」

そして可愛いながらもなかなか迫力のある声。

「ワカ…?」
「あのクソゴリラ、動き鈍ったんじゃない?全然大したことないわ」

手に持った棒を転げ落ちた坂東の方向に向けて投げ捨てる和佳子。
その表情も口調も、かつての和佳子に戻っているような気がした。

「和佳子、ご主人様に粗相はあってはいけません」

こちらもかつての凛とした雰囲気になる恵美子。
口調は戻った気はするが、内容はそうではない。
驚くしかない僕の前で2人が跪いた。

「ご主人様・・・まずはこの場を離れるべきかと」
「お母様と同じく・・・ご主人様、離れましょう」

奴隷の時とも違う意思の強い口調だ。
だが、感慨に浸っている暇は無い。
僕達は坂東の転げた反対側・・・
つまり元来た石段を急いで降りた。


側に停めていた車に乗り込み少し移動する。
少し離れた所にある高台の公園。
たまに子供が遊びに来る公園で、僕らも何度かはここに来た事がある。
そこの一角にある木陰のベンチで、僕らは自販機のジュースで喉を潤してから本題に入った。

「全部思い出したのか?」
「ああ・・・ご主人様が坂東にって思った瞬間・・・頭が弾けるような感触があって、身体が動いたんだ・・・」

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