他人のモノになった、あの娘 118
まずは完璧に体調が回復してもう少しふっくらしてくれるのを待とう。
彼女を可愛がるのはそのあとだ。
華も母親であるから子供たちのお世話はできるだろうし仕事での経験があるから僕の仕事のサポートも考えたい…その辺は由香里とも話して決めていきたい。
華が去ると、代わりに千秋が入ってくる。
少しニヤついている。
「どうした?なんかいいことあったか?」
「まあね。ちょっと相手してやってよ」
そう言ってデスクにノートパソコンを置き、僕のほうに向かって画面を開く。
「やっほー!!輔ちゃん元気ー?」
「!?」
画面の向こうでニコニコしながら手を振っているのは…草野佑梨。
背景が映り込んでいるが、佑梨は庭のプールサイドに居てビキニ姿を夕日が染めていた。
こっちは午前中だから、恐らくアメリカなんだろう。
「久しぶりだね」
「そうだね・・・この前は会う機会無かったけど」
中学時代は五本指と呼ばれた美少女は、更に進化して美女になっていた。
僕の所に居る同級生達も美少女揃いだが、佑梨は女優やってるだけにオーラみたいなものが画面越しにも伝わってくる。
「今日はオフかい?」
「うん、撮影の合間のオフだよ」
すっかり向こうで女優になってる佑梨。
今年演じた役が評価が高く、何かしらの賞もあり得ると聞いた。
その映画の収益も相当なものらしい。
僕は折角だし、千秋も横に抱き寄せて座らせる。
千秋が映ると佑梨も嬉しそうな顔をした。
「おー・・・しっかりちーさんも愛人してるねー」
「ああ、こんないい女いないからな」
佑梨に見えるように千秋とキスすると、画面の向こうからきゃーっと佑梨の歓声がする。
画面越しに友人に見られて千秋もたちまち顔が真っ赤になる。
佑梨もキャーって叫んでたけどあちらはむしろもっとやれみたいな感じでニコニコ笑っている。
「ねー、ちーさんって磨けばすっごい美人になるんだもんねー。あの頃からいろいろ誘ってたのに全然乗ってくれなかったからねー」
「お前や薫ほどじゃないからな…」
「ええーそんなことはないよー」
「佑梨さんはどうなのかな?ボーイフレンド10人くらいいるんだろ?」
「あははは、やってることは輔ちゃんと同じかもねー」
そう佑梨は言って手を伸ばして何かを引っ張る。
そこに現れたのはショートカットの女子。
ビキニ姿の彼女に見覚えは勿論ある。
「高柳か!」
「そうよ、高柳紗英よ」
「水上くん、久しぶり」
随分胸も成長して女らしくなったが、昔の面影もある。
勉強もできて運動神経抜群、そして明るく元気な子と言うイメージが当時の彼女にはあったが、大人びて良い意味での落ち着きがあって大人の女になっていた。
「今は私のマネージャー兼彼女ね」
「さーちゃん英語得意だったし、しっかりしてるからマネージャーに最適だよな」
「ちーちゃんには勉強勝てなかったじゃない」
女3人がはしゃぐ。
はしゃぎながらも紗英が佑梨を抱きしめてキスすると、佑梨もそれに応えて濃厚に唇を貪り合う。
こちらもそれを見ながら千秋の唇を貪り、胸を揉む。
「さーちゃんがこっちの女の子にモテまくるから、私はその恩恵を受けまくりね」
「それはさ、ユウちゃんの財力あっての事だよ」
どうやら2人共、そっち方面がお盛んのようだ。
もともと昔から仲良しだった2人。
佑梨が芸能界志望なのも昔からの話で、そのまま別々の道を歩んでいくのかと思っていた。
そんな彼女たちを壊したのも坂東とその一味。
当時の紗英は女子の中のリーダー格でありクラス委員長を務めていた正義感の強い子でもあった。
千秋と萌が裏で動く子だったら、表で引っ張る子が紗英だった。
次々に肉便器に堕ちていく女子の中で、紗英が最後の砦だった時期があったのを思い出す。