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彼女と僕の甘々の日々
官能リレー小説 - 若奥さん

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彼女と僕の甘々の日々 3

彼氏は出不精と言ってたが、こう言う事で喜ばせるのに、その手間を惜しむって僕には信じられない。
僕も元妻とは学生時代からの付き合いだったけど、互いにお金が無いなりに沢山デートしたんだが・・・
本当に勿体無い事だ。

「もう種明かししちゃっていいですか?」
「種明かし??」

少し済まなそうな顔で穂ちゃんがそう切り出す。

「私の親友の梨花と・・・優さんのお友達の岡田さんって・・・付き合ってるんです」
「マジか?!」

俺の悪友、岡田大貴は柔道一直線みたいなコワモテだが・・・
おっさんになりかけてる年で高校生と付き合っているってどう言う事だよ。

「じゃあ、偶然って訳でなく?」
「すいません・・・梨花がもう1人の親友の杏里と幸田さんの間を取り持つつもりでセッティングした旅行なんですけど・・・」

幸田弘也も俺の悪友だが、こっちは大貴と正反対で研究職で女縁が全く無かった奴だ。
と言うか、良い奴だが女との会話すらよく分かってない奴だけに、そっちの方が心配だ。

「杏里も将来は同じような研究職を目指してるから、きっと気が合うだろうって」
「ああ、それなら大丈夫かもな・・・アイツ人見知り激しいから、そう言う会話からなら入っていけるだろうし」

弘也は仲間とならよく喋るが、基本自分の興味あることしか喋らないし、結構人見知りだ。
同じ事が喋れるなら大丈夫かもしれない。

「で、ついでに僕達と言う訳か」
「すいません・・・でも、岡田さんから本当の男女の付き合いを優さんなら教えてくれるだろうって」

成る程。
お膳立てしてくれたって事か。
大貴の事だから変なナンパでもさせられるのかって警戒したが、あの相席からして仕掛けがあったのかもしれない。
持つべきものは友って事か・・・
悪友から友人ぐらいには格上げしてもいいかもしれない。

「そっか・・・でも僕はバツイチだから失敗した方なんだけどな」
「でも、こんな短い時間ですけど・・・優さんの優しさは伝わってきますよ」

そうフォローされるが、大貴からは『優し過ぎるから寝取られるんだ』なんて言われたのも何となく理解もしてる。

「穂ちゃんってさ・・・」
「はい」

防風林の傍らまでやってきた僕は、木陰で座りながら言う。
穂ちゃんも僕の隣に座ってこっちを見る。

「男女の付き合いってどう言うものだと思う?」
「えっと・・・従い尽くすものだと思ってました」

なんか答えがDV男を作り出す女ぽいと思ってしまった。
そりゃあ彼氏からしても、これだけ都合が良いと何もしないだろう。
でも過去形で語るって事は、それが違うって分かってきたのかもしれない。

「去年、父が亡くなるまで母がそうでしたし、私も父にそう育てられてきました」

成る程、筋金入りだ。
家庭環境がそうだからそれがおかしいとも思わなかったんだろう。

でも僕も心当たりがある。
僕は逆に元妻に尽くし過ぎたのだ。
学生時代の元妻はアイドル的な存在だったから、付き合えた事に舞い上がって、そのままずっとその関係で来てしまった。
尽くすことが悪いと言わないが、一方的なのも関係が破綻する。
それを身をもって知る羽目になって気づいた訳だ。
結局、大貴や女性遍歴の無い弘也にまで忠告されていたが、気づいた時には破綻してたのだ。

つまり・・・
彼女と僕は似た者同士。
アイツらや穂ちゃんの友達達は、それを見越してセッテイングしたって事だろう。

「愛する事や尽くすことは悪くないよ・・・でも愛される事も尽くされる事も大事なのさ・・・それがバツイチのおっさんに理解できた事さ」
「愛される事・・・尽くされる事ですか・・・」

考え込む穂ちゃん。
彼女が考え込むのも、何となく内容が理解できる僕がいた。

「私にその価値があるんでしょうか・・・」
「うん、そう言うと思った」

恐らくそんな家庭環境だったから、父親から相当貶められていたのだと思う。

「友達は褒めてくれるのに、お父さんは馬鹿だのクズだのブスだの言われたりした?」
「!!!・・・はい・・・梨花や杏里がそれは絶対おかしいって・・・」

やっぱりそうか。
貶められて従って尽くすのが当然ってやられたんだろうって想像通りだ。
ちゃんと愛されてきてないから、逆に愛されたり尽くされたりする事ができないんだろう。
僕も人のことは言えないが、年食ってる分だけ分かることもある。


「なんか、間違ってたんでしょうかね、私って……」
穂ちゃんは僕から視線を離して俯きながら言う。

こんなに可愛いのに、何かいろいろ損をして生きてきたというのが信じられなくて。
それが僕とも重なるところがあって、放っておけないような気がして。

「そう、かもしれない。でも、決して間違ってることはないと思う…」

僕は穂ちゃんの背後に回り、優しく肩を抱いた。

「優さん…」

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