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未亡人の性愛
官能リレー小説 - 若奥さん

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未亡人の性愛 4

 照りつける太陽。目の前にはどこまでも広がる大きな海。
 砂浜に敷いたレジャーシートを二人分の荷物で押さえ、私はその中央にちょこんと座って陽子の帰りを待っていた。
先日買ったばかりの、黒のビキニに身を包んで──。
 水着を着て人前に出るなんて、もう何年ぶりのことだろう。
肌のほとんどが露出しているのだ。私は裸足の足指をもじもじとさせながら、すさまじく居心地の悪い思いをしていた。
胸の前と股間の前後にしか布がない。
周りの男性たちの視線が背中、わき腹、腰周り、太もも、ふくらはぎ──身体中に突き刺さっている気がしてしまう。

「……」

──自意識、過剰だろうか……。
 私がそんな風に思っていると、
「はーい、ちょっとごめんなさーい。はーい、ちょっと通してくれるかなー」
 後ろから大きな声が聞こえてきた。
 振り返ると、両手に二人分のヤキソバとジュースを持った陽子が家族連れやカップルにぶつからないよう器用に人ごみを縫ってこちらに向かってくるところだった──。



 夏も真っ盛りの土曜日。
 仕事も休みだったので、私、遠坂美咲は親友の澤近陽子に連れられて海に遊びに来ていた。
 まあ、本当はこんなところに来たくはなかったんだけど……。
水着を買うのも面倒だったし、そもそも私は泳げないのだから。
 それなのに陽子がしつこく説得してきて、彼女に押し切られる形で半ば無理矢理連れてこられたのだ。
 なんでも──、
「美咲、アンタには青春が足りない! 女は40まで常に青春の日々なんだぞ! 家で悶々としているぐらいなら、海行くぞ! 海!」
 ……ということらしかった。


むしろ盛り場としての海は二人には苛酷な場所だった。
同性のライバルは遥かに若く、大胆でしかも瑞々しかった。同世代だとルックスでも肢体でも勝っていたが、そのママ達が連れている騒がしい子供と夫や父親とは名ばかりのおじさんばかりで雰囲気を台無しにしていた。
「なんだか、水着まで勝って損したみたい」
「じゃあ、売りに行く?」
陽子は強引な割に人にまで損させないという人がいい部分もある。
「で、どこ?古着屋とか」
「アダルトショップ。使用済みなほどいいし、すぐ現金化できちゃう」
別にこの海に特に思い入れはないし、善は急げとばかりに場所を移す。
「やっぱ地方ね。他に娯楽がないのか店も目立つところにあって大きい。客が男だけって、さっきの海よりもイカ臭そう」
車から降りた陽子は遠慮なく口にする。
休日の真っ昼間、それでも車は私たち以外にも数台ある。
「ちょうどよかったかも?美咲を慰めるための道具とか物色しよっかなぁ」
「ちょ、ちょっと、陽子、それは別に…」
ここまで来られて欲求不満ぶりを明け透けにされると恥ずかしいよ。


水着はあっさり売った。
陽子は私のと、自分の分も両方差し出す。
まあこれはこれでいいんだよね、そう思って車に戻る。

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