若妻淫願望 6
―郊外の住宅街
西村美波と木島英梨は高校の同級生で、大の仲良しだった。
ともに結婚し現在家は隣同士。
2人で遊びに行くのもある意味当たり前。
「……でね、今こう言うのやってるんだけど」
「美術館?確かに英梨って美術部だったけど…」
「一人で行くのもなんだしねっ、美波がいたら心強いなぁって」
「どういうこと?」
「……痴漢体験、してみない?」
「!?」
「ほら、あの路線ってさ、平日の朝晩は通勤通学ラッシュで混み合うのよ。すごいときはもう、ギュウギュウ」
「そんなんだったっけ」
「うちの人がお弁当忘れて持っていった時、結構混んでて…それに、出るらしいわよ」
「…痴漢?」
「そう」
「私たち、ずーっと自転車通学だったじゃん。電車通学の友達が痴漢にあった〜とか言ってたの聞いて、あの頃から気になってたんだ」
「まあ、ね。でも、なんか怖いって言うか」
「お触りしてきたら、逆に誘っちゃうのよ。警察に突き出しはしないわ」
「そう…」
乗り気の英梨はある朝、夫を送り出した後美波を連れまだ混雑する最寄り駅に向かう。
ホーム上は乗り降りする乗客で混み合う。
通勤通学の会社員や学生が多く、若い人妻2人はちょっと浮いた感じになっていた。
「こんなに混んでるのね、この時間」
「私が乗った時もこんな感じだったわ」
(一応)目的の美術館方面の電車がやってきて、英梨と美波はちょうど真ん中の当たりの車両に乗った。
ホームと反対側のドアまで進んで、2人の後ろからも多くの乗客が乗り込んできて密度は濃くなる。
やがてドアが閉まり電車がゆっくりと動き出す。
英梨と美波は先ほどの駅のホームと反対側のドアの前で並んで立っている。
「いつも朝って混むのね」
「ダーリンたち大変なんだなぁ」
ひと駅停車し、さらに混み具合が増す。
異変はその駅を発車した後の当たりで起こる。
(あれっ)
英梨の背中からお尻にかけてを、何者かがそっと撫でた。