夏恋 4
康成さんはプールから歩いて五分のところに住んでいること、自分は駅を挟んで隣町からバスを使って来ていたこと、小学校のみんなと遊ぶのも楽しいけれど、夏休みは冒険を趣味にしたからなるべく知らないとこのプールにいってること。
ほかにもいろんなことを話しているともう一時間半以上この店にいることに気づく。
もう帰らないとママが心配する。
まだケータイを持たされてないから、バス停の公衆電話で電話しなくちゃと思いながら。
「康成さん、愛海、門限あるんです。楽しいけど帰らなくちゃ」
ご馳走してもらった上に自分から先に席をたつのが気が引けて仕方ない。
でもママやパパに余計な心配をかけて冒険を許してもらえなくなったらそれはもっと困る。
「少し長居させちゃった。愛海ちゃんはまたこのプール来る?」
ゆっくり話してたのに話題が尽きない。また康成さんと話したい気持ちがこみ上げると
「あの、また来ます。康成さんは?」
「うん。多分今度は水曜日。愛海ちゃんは?」
「じゃあ水曜日の今日と同じ時間にきますっ」
なんだかこんなにすんなり初対面の男の人と約束できるのが嬉しい。
その時の愛海は素敵なお兄さんができたような嬉しさが、両親の戒めを守る大切さよりも全然勝っていた。
店をあとにすると、長い影を引きながら角まで見送ってくれると康成さんが
「愛海ちゃん、可愛いから写真撮っていい?」
スマホを向けて言われると、「可愛い」の言葉が嬉しくて傍の公園で何枚か撮ってもらった。
「今度見せてくださいね。じゃあここで。ばいばーい」
「うん、またね。気をつけて帰るんだよ?」
逆光になって表情のわからない康成さんに手を大きく振って角を曲がるとバス停まで小走りになって急いだ。
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可愛い子だった。運命の出会いにも近かった、と思った。
ちょっと心配になって彼女がこちらを振り返ることを忘れるまで、追いかけた。
ちゃんとバスに乗れたのを確認して、家に帰った。
スマホで撮った愛海ちゃんの画像。
それを見てるだけで、愛おしい、まるで俺だけの天使のような感覚になる。
幼いのにその凶悪なボディラインもしっかりととらえられた。
愛海ちゃんに申し訳ないが、よからぬ妄想まで抱いてしまう。
スマホの愛海ちゃんを見て、股間はノッソリ持ち上がった。
次の水曜日まで、俺の楽しみは尽きない。
夏休みが過ぎていくのは早い。
愛海ちゃんたち小学生のように宿題があるわけじゃないけど、何か、どこか追われてる感じがするのは自分が受験生だからだろうか。
待ちに待った水曜日がやってきた。また愛海ちゃんに会える日だ。
ここ二週間くらい続いた猛暑日が途切れた。薄曇りで日差しもそんなにない。
まあ外出するにはありがたいかな。
プールの開館は午前10時…この前の時間だとちょっと早いかもしれない。
俺はゆっくり準備して少し早めにプールに向かう。
プールの前に見たことのある姿…あれはまさか。
「康成さん!」
「愛海ちゃん、早かったね」
「康成さんに会いたくて、ちょっと早めに来ちゃいました!」
「いいよいいよ、俺も愛海ちゃんに会いたくて早く行きたかったからね、良かったよ」
「康成さんに見て欲しいから今日は違う水着持ってきたんですよ」
「へぇ、楽しみだな」
この前のスクール水着でも相当な刺激があったが愛海ちゃんのプライベートの水着はなかなか破壊力があるかもしれない。愛海ちゃんの歳ならビキニはないだろうがこのスタイルだから興奮を抑えられるだろうか…
そんなことを考えながらいったん更衣室で着替えのために別れた。