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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第3部 19


「何度も言っているだろう?
 おまえはヒーロー協会に所属する正義の味方の1人に過ぎない。
 だが正義の味方である以上、それにふさわしい行いをするべきだ、とな」
「ハッ、笑わせるなっ・・・!
 正義や悪なんてものは所詮個人の価値観、ルールにすぎないっ・・・!
 私に言わせれば、自分たちの正義を押し付けているおまえたちのほうが、よほど悪党に見えるがなっ・・・!」

ザワッ・・・!

神をも恐れぬ傲岸不遜な物言いに、周囲がざわつく。
それはヒーロー協会そのものへの侮辱に他ならないからだ。
さしもの大塔寺もこれにはカチンときたらしい。
怒りこそしなかったが、さらに増した重圧がルシフェルの身体を押しつぶそうとする。
これ以上の暴言は許さないという、遠回しな警告だ。

「・・・やれやれ。わかってないな、ルシフェル。
 正義とは秩序だ。誰かが正義を守らねば秩序は崩壊し、平和は乱れる。
 これは誰かがやらねばならない大切な仕事なのだよ。
 少し、頭を冷やしてきなさい。
 それまでに、おまえの態度がよくなっていることを願うぞ」

次の瞬間、大会議室に光がともされ、身体にかけられた重圧が消滅した。
そこには大塔寺も、集まっていた重役たちも誰もいない。
多忙な彼らは遠方から電子通信で参加していたのだ。
最初から無人の会議室でルシフェルはあざ笑う。
これが茶番劇でなくて何なのだ、と。
「あれだけ痛めつけられて、まだ笑えるか。さすがは次世代型。
 心も身体も、我々のそれとは根本からつくりが違うようだな」

静寂を破る突然の声にルシフェルが一瞬驚いたように顔を上げる。
その視線の先にはいつ入ってきたのか、翔影が腕を組んで壁にもたれかかっている。

「・・・ふん。オマエのような、胡散臭い男を使い走りに使っているお偉方に比べればまだマシさ」

声の主がわかると、ルシフェルはいつもの口調で憎まれ口をたたく。
しかしこの言葉、予想以上に効果があったようだ。
翔影の眉がほんの少し、一瞬だったがピクリと反応したのだ。
次の瞬間、両者の間に見えない火花がバチリとはじける。
それは仲のよしあしなどというモノで片付けるには、あまりに激しいものだった。
一瞬の攻防。その直後に口火を切ったのはルシフェルだった。

「・・・で?私に一体何の用だ?」
「同じヒーロー協会に所属するものとして、少々忠告に来たのさ、アドヴァンスドヒーロー」

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