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神になろうとした男
官能リレー小説 - SF

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神になろうとした男 1

24世紀、人類は広大な宇宙へと活動の範囲を広げていた。人々は次々に新しい星を調査・探検し、開拓していった。やる気と運さえあれば一つの星の支配者にさえなれた。多くの若者が夢と希望を抱いて無限に広がる星の海へと乗り出して行った。
ここにも一人、そんな立身出世を夢見る男がいた。名をジョン・トシアキ・サトウといった。日系人らしいが、顔付きを見ると混血のようにも見えた。細かい事は本人にもよく分からない。
ジョンは火星の貧しい開拓民の家庭に生まれた。五人兄弟の末っ子だった彼は学校にも行けず、読み書きも出来なかった。15になると口減らしのために家を追い出され、火星国軍に入隊した。軍隊なら衣食住の心配が要らないからだ。給料も良い。
三年間、火星軍に身を置き、18歳で除隊した。その間、火星と地球との間で戦争があり、実戦も少し経験した。
そして今、ジョンは三年間で貯めた金を持って火星国際宇宙港に立っていた。
「惑星エリアス行きのチケットをくれ」
「エ…エリアス!?」
窓口の女性係員は彼の言葉に耳を疑った。
「失礼ですが、なぜエリアスなどに?何も無い辺境の未開惑星ですよ?」
「どこに行って何をしようと俺の勝手だろ?」
「あの星は危険です。半年前にも探検隊が入って全滅しました」
「危険は承知の上だ」
「…分かりました。良い旅を」
エリアスは半世紀ほど前に発見された惑星だった。大気も気候も重力も地球とほぼ同じで、発見当初は『第二の地球』と、もてはやされた。しかし、経済的にも軍事的にも全く意味の無い辺境に位置していた事、凶暴な猛獣や病原菌が生息する危険な環境であった事などから、開拓の手が付けられないまま見過ごされていた。今は小さな観測所があるだけだ。
火星軍に居た時、ジョンはこのエリアスに関するある噂を聞いた。惑星エリアスの地下には莫大な天然資源が眠っている……というものである。石油、石炭、天然ガス、金、銀、銅、鉄、ニッケル、ウラン、それにルビーやダイヤなどの宝石類……もちろん、これは根拠の無い噂話だ。しかしジョンはこの星に人生を賭けてみたいと思った。

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