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未来宇宙史
官能リレー小説 - SF

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未来宇宙史 4

「いや……なんでもない」
 溢れる感情を無理に抑え込んで作り込む笑顔に、流石の朴念仁も胸打たれたのか、場に気まずい沈黙が流れる。
「ふふっ、どうしたの?」
 とは言え戦略の第一関門を突破したエナには若干の心の余裕が生まれていた。
 なんだかんだでイニシアチブはカイルが握っていたが、今この時間だけは、奇しくも立場が逆転していた。
「いや……なんでもない」
 意識せずエナの発言をそのまま繰り返してしまうカイル。
 その動揺は薬のせいか、それとも別の何かなのか。
 二人に漂ういつもと違う空気。色恋沙汰には疎いカイルだったが、これでも勘は鋭い方である。
 媚薬まじりの飲み物を飲まされて気付かないほど愚鈍ではない……エナもそう考えていたからこその策であった。
 これで鈍感なカイルもエナの気持ちに気付くだろう、と。

……幸か不幸か、その目論見は外れることとなったが、決して悪くはない状況だ。当のエナも、こうなりゃなるようになるはず、と半ば自棄にも思える思考で現状を楽しんでいた。
 ふと、エナの悪戯心が芽生えた瞬間があった。
 カイルの普段見せない動揺した表情がエナの加虐心を刺激したのだ。
「ねぇ……私の身体で遊んでみる?」
 さながら夜を彩る蝶のように誘うエナ自身も、まるで媚薬でも飲んだかのような気分の高揚を感じていた。
「お前……何言って……」
 そういうカイルも、一字一句を発することすら困難な程に喉が乾燥していた。



 それは一瞬の出来事だった。
 エナが足を組み替える隙に、意図せず出来た純白。
 何度も淫靡な言動を生み出したエナの無防備な瞬間に、カイルの理性が弾け飛んだ。
 カイル自身も、そしてエナにも、よもや幻聴とも思えるそのプチッという理性が飛ぶ音が聞こえたような気がした。
「あ、あれ……? カイル? 顔が怖いよ……?」
 言い終わるかどうかのタイミングで、エナは背後にあったベッドへと乱暴に押し倒された。
「ちょ、ちょっと待ってカイル」
 抗議むなしく体中をまさぐられ、服をズルズルと脱がされていく。
 抵抗しようにも、のし掛かられている為に大した事が出来ず、ただただされるがままになっていた。
 身体のラインが出るような薄手の白いワンピースの花柄がよじれ、白い肌が露わになると同時に、やや上気して朱に染まった肌がカイルの情欲を刺激して、更に荒々しい行為に発展していく。
 エナのなまめかしく伸びた足に手の平をそっと滑らせていき、淫猥な動きをもってして純白を求めるカイルに、形だけの抵抗を見せるエナ。
 果たしてそれは情欲をそそるだけと理解しての行動なのか、ちらちらと見える三角地帯に、更なる痴態を想像してしまうカイル。
 淫らな香り漂う空間で二人は、宵闇の中性欲に駆られた獣と化していく。
「ねぇ……したいの? カイル、ねぇ……」
 甘く誘うような声で譫言のように呟くエナ。
 果たして真に求められているのかという不安からの発言なのだが、カイルにとっては劣情を誘う言葉だった。
「お前が煽るような仕草をするから……!」
 渇きからか掠れた声を発する。それは喉の渇きなのか、性への渇望か。

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