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銀河を翔る助平
官能リレー小説 - SF

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銀河を翔る助平 9

カインは元々王位継承者では無かった。兄がいたが病死したのだ。故に彼は支配者としての教育を受けていない。だが結果的にはそれが良かった。柔軟な考え方が出来るようになった訳だ。彼はベッドから出ると側に脱ぎ捨てられていた服を着て爺に言った。
「海賊の動きはどうだ?」
「は?」
爺はカインが何故海賊の動きなどを気にするのか分からなかった。
「一部の噂によるとロシュフォートのアイナ王女が脱出に成功したと聞く。万一海賊の手に落ち、奴らが王女を担ぎ出せばどうなる…?」
確かに海賊から見れば成功した際に得られる利権は大きい。
「…しかしそんな事をする者が…」
「確かに可能性は限りなく低いが、この世に絶対という事は無い。商船ギルト連中の動きも注意しておけ!戦を起こすなら“物”が動く!!それと議員を臨時召集しておけ」
カインの的確な指示で家臣たちが動き回る。

程無くして臨時議会が招集され、新政権をロシュフォートの正統政府と認める事が決定した。ただし、今後の政局次第では軍事行動を起こす事も求められた。

「ロシュフォートの新たな支配者…我がアルビオンのように民主的な指導者になるか、はたまた圧政を敷く独裁者になるか…」
部屋に戻って休んでいたカインの元に、血相を変えた将校が飛び込んで来た。
「摂政殿下!消息不明だったアイナ王女についての情報が入りました!信憑性の低い噂話ですが…」
「構わない。聞かせろ」
「アイナ王女はロシュフォート脱出後、海賊のカイザー一味に保護された…と」
その場に居た爺は驚く。
「殿下のご明察、恐れ入りました!しかしカイザー一味は最近頭領が変わったばかりで結束力は弱いと聞いておりますが…」
「…爺、軍部に臨戦態勢を取るよう通達しておけ。場合によってはドンパチになるかも知れん…」
「かしこまりました。殿下」
爺が部屋を出た後、カインは一人つぶやく。
「まったく…近ごろ銀河のあちこちでゴタゴタが起きるな。人類が宇宙に進出して千年…ついに動乱の時代が来たのかも知れんな」
夜空を見上げた彼は風雲急なる人類社会の行く末に溜め息をつく。

「カイン様…」
窓の外から若い女の声がした。
「怪盗アリスか…また何か盗みに来たのか?」
「そんなんじゃないよ。少し耳に入れたい事があってね。ロシュフォート軍が新しい艦艇を建造して艦隊を再編成してる。海賊討伐って名目でね」
「なるほど…アイナ姫がカイザー一味の手に落ちたってのは本当らしいな。ロシュフォート軍は火力に物を言わせて海賊もろとも姫を宇宙の藻屑にしようって腹か…」

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