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銀河を翔る助平
官能リレー小説 - SF

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銀河を翔る助平 21

「せ…摂政殿下に至急のお知らせぇ!!」
慌てふためいた様子の将校が飛び込んで来た。
「ばかもの!いま殿下は…」
「いや、構わない。何があった?報告しろ」
将校は室内の状況に一瞬戸惑うが、すぐに気を取り直して報告した。
「はい!ロシュフォート軍が極秘に建造を進めておりました最新鋭艦の破壊任務に当たっていた潜宙艦I‐105が…撃沈されました!」
「I‐105?……お、おい!まさか、それはひょっとしてバルシュート少佐の艦か!?」
カインの顔色が変わった。
「はい…バルシュート少佐以下乗組員達は……残念ながら…」
「バルシュート……クッ!!」
カインは顔を歪めて拳を握り締めた。
「殿下…」
爺やも掛ける言葉が見付からない。
「済まない…みんな少し出て行ってくれ…一人になりたい…」
「かしこまりました、殿下…」
「「「……」」」
皆は静かに部屋を後にした。
一人になったカインは言う。
「…バルシュートを死なせたのは俺だ…畜生!!俺は最低だ!!バルシュート…許してくれとは言わない…だが後悔はさせないぞ!!お前の死は絶対に無駄にはしない!!だからあの世から見ていてくれ!!バルシュート!!!」


「ハックション!」
最近騒がしくなった国際情勢はある市場に敏感に反応する。PMC(民間軍事会社)はその一つであり、傭兵から兵站まで様々な業種を持つ。
「社長、風邪ですか?」
「あほう……どっかの誰かが何かデカい話を持ちかけて来る予感がしたんだ」
社長室の大きな机にふんぞり返った20代半ば程と思しき青年は言った。
彼の名はジン・ギルバート。
数年前に老齢を理由に引退した父親の跡を継ぎ、銀河系最大規模のPMC『コスモ・セキュリティー・サービス』の社長兼会長に就任した。
「予感…ですか?」
胸元の大きく開いたセクシーなスーツに身を包んだ美しい秘書が尋ねる。
「…ああ、商売人の勘ってヤツさ」
そう言いながらギルバートは秘書の体を抱き寄せ、その豊満な胸に手を這わせた。
「あぁん…社長ぉ〜♪」
そこへ、通信が入った。
『社長、失礼いたします。アルビオン王国のカイン・ド・アベル王太子様から通信が入っております』
「はぁ?アルビオン?どこだ?」
『天の川銀河系南天方面ソルダー星系の第三惑星アルビオンにある王政国家です。ちなみに同星系の第四惑星は最近革命があったロシュフォート王国で…』
「あぁ、思い出したぞ。確かアイラ王女とかいう美しい姫が海賊に犯されている動画を見た」
『アイナ王女です』
「いずれにせよ辺境の小国だな…で?そのロシュフォートの隣の国の王子様が何だって?お姫様を助けに行くのに兵がご入り用か?」
『ただいま回線を繋ぎます』
ギルバートの目の前にカインの立体映像が映し出された。
『お初にお目にかかる。ジン・ギルバート殿…』
「これはこれは殿下、お会い出来て光栄でございます。当コスモ・セキュリティー・サービスをご利用いただきまして誠にありがとうございます。当社は一星系国家並の軍事力と最新鋭の兵器を取り揃えており…」
『…御託は良い。やってもらいたい事がある。君達は“戦争屋”だろう?』
「…さっそく商談ですか。お話が早くて助かります…」
果たしてカインの企みとは一体何なのか?


その頃、カイザーは獣人ゴルダが艦長を務める戦艦『バルバロス』に来ていた。
「よぉ、ゴルダ」
「よぉ、ゴルダ…じゃねえぜ頭領!!こりゃあ一体どういう事だ!?」
「おいおい…何をそんなに興奮してるんだ?」
「当たり前だぜチクショウ!!王政派義勇軍との戦いに勝ったのは俺達だ!それなのにあの貴族のボンボン(アルベルト)に勝利を譲っちまいやがって…一体何を考えてやがる!?」
「そりゃあ味方は多い方が良いと思ってな…。だいたい俺達の目的は救国の英雄になる事じゃねえ。貰える物さえ貰えりゃあそれで良いだろう?」
「じゃあ訊くが、その“貰える物”ってのは一体何なんだ?この一件、俺はただ大暴れしてえってだけの理由でアンタに賛同したが、よくよく考えてみりゃあ勝っても得る物が何も無えんじゃねえのか?」
「何だ…ゴルダ、お前までケネックみてえな事言い出さねえでくれよ。まあ良い。教えてやる。ロシュフォートには良質なガルハライトを産出する鉱山がある。そいつを貰うのさ」
「何だ?海賊から足洗って鉱山経営者にでも転向する気か?」
「それも良いが俺の柄じゃねえよ。ま、俺の考えは…戦いのドサクサに紛れて鉱山を占領し、あとは戦乱終結後に成立した新政府に立ち退き料をガッポリ請求…って所かね」
「なるほど…そいつは良い!」
「だがその前に革命政府と一戦やらなきゃならねえ」
「話してるのはピッタリの相手だ!戦闘なら任せとけ!」
ゴルダは自分の胸をドンと叩いた。
「頼りにしてるぜ。だが革命政府軍と戦うに当たって一つ心配の種があるんだ…」
「何だ?」
「クロイツだ」
「クロイツ?放っとけよ、あんなヤロウ」
「そうもいかねえんだ。ある信頼できる情報筋によると、あのヤロウ、革命政府と通じてやる。ヤツの部下が革命政府の親玉のヒスターと接触してやがったんだ…何か企んでやがるぜ」
「マジかよ?…ま、ヤツならやりそうな事だな」
「ああ、そこで一つ頼みがあるんだが…」

…ゴルダとの話を終えたカイザーは帰り際にゴルダの妹リシェルを尋ねた。
「よう、リシェル…」
「あれ?頭領…バルバロスに来るなんて珍しいね。何か用事でもあった?」
リシェルはいかにも何気ない素振りを装うが、カイザーの顔を見るなり両耳がピンッと立って尻尾はフリフリ揺れている(彼女自身が気付いているかは謎だが…)。
「な〜に、ちょっとリシェルに会いたくなっちまってな…」
そう言いながらカイザーはリシェルの体を抱き寄せて唇を奪った。


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