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銀河を翔る助平
官能リレー小説 - SF

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銀河を翔る助平 19

「くっそぉ〜っ!!あの青二才めがあぁぁっ!!」
ヒスターは怒り狂ってテレビの電源を切った。
「…これがもう30分ほど前から国営放送を含む全チャンネルで繰り返し放送されておりまして…」
「バカモノ!!今すぐ止めさせろ!!」
「し…しかしマスコミの心象を損ねると世論を敵に回す事に…」
「我々は支配者だぞ!!民意など気にして国家の統治が出来るか!!各局に憲兵隊を一個連隊ずつ遣って制圧しろ!!」
「無茶です…!!」
だがヒスターは言葉とは裏腹に民衆を恐れていた。特に民衆が武器を取って蜂起する事を大変恐れていた。
そもそも大方の予想ではカイザーが勝つと思われていたのだ。火力、兵力、共に義勇軍を遥かに上回っている。
カイザーではロシュフォート市民の支持は得られない。しかも王女を辱めた。彼らを征伐すれば市民達の支持も得られ一石二鳥だ。
ところが勝ったのは予想に反して義勇軍…そして今の放送…事態は革命政権にとって最悪の方向へと転がり始めていた。

「閣下ぁ〜っ!!!!」
そこに勢い良く扉が開け放たれ、軍務大臣のデュラン侯爵が入って来た。
「何じゃ!?これ以上悪い知らせは聞きたくない!!」
「いえ、朗報にございます!かねてより健造を急がせておりました戦艦シリウスがついに完成いたしました!」
「何ぃ!?あの“完成すれば銀河系最強”と言われた最新鋭艦が…!!」
「はい!!」
ちなみに“銀河系最強”の称号は長くて1〜2年、短い場合は数ヶ月で塗り替えられてしまうのが常である。
「勝てる…あの艦(フネ)さえあれば勝てるぞおぉぉ!!」
ヒスターは興奮し、拳を掲げて叫んだ。

「よし、待っていたぜ……こちらも仕事をするか」
カインの懐刀であるバルシュートはこの時を待っていた……シリウスの完全破壊である。
「砲撃手、シリウスのデータ入力は終わっているな」
「そりゃあ情報部の娼婦顔負けのテクで抜かりなく」
バルシュートは叫ぶ。
「全弾発射!」
ミサイルは全てシリウスの弱点となる個所やドックのエネルギープラントへと飛んでいく。建造を急がせた事はドック内にスパイを送り込みやすく、それを取り締まる筈の部署も前々から侵入させていた情報部の女性エージェントらの“身体を張った妨害工作”によって無力化していた。しかしバルシュートとしては敵勢力圏内での攻撃はリスクが大きい。
「ワープエンジン作動スタンバイ!」
「アイサー」
「うまく逃げろよ!」
この攻撃は潜入している味方の工作員にも危険が及ぶのだ。
衛星軌道上から地上のドッグへの潜宙艦によるミサイル攻撃である。
カインの発案による作戦だ。
「まったく王子も奇想天外な作戦を思い付くもんだ…」
「しかし奇襲としては極めて有効ですよ。建艦用ドッグの上部はガラ開きですからね…おっと、着弾5秒前…3、2、1…」

ズドドオォーーーーンッ!!!

こうして最新鋭戦艦シリウスは哀れ処女航海前に破壊された…

…かに思われた、その時であった!
「バルシュート艦長!高速で本艦に接近しつつある熱源多数あり!地上より発射された模様!」
「何!?地対宙砲か!」
「いえ!軌道からシリウスより発射された物と思われます!」
「バカな!破壊できなかったと言うのか!?…クソ!ワープだ!シリウスの破壊を確認したいが仕方ない!」
「ま…間に合いません!回避不能!うわあぁぁ!!?」

ズドオオォォォンッ!!!!

次の瞬間、砲撃を喰らった潜宙艦は爆散し、艦長バルシュート少佐以下乗組員30余名は哀れ宇宙の藻屑と消えたのであった…。

一方、地上では…
ロシュフォート宇宙軍工廠ドッグは滅茶苦茶に破壊されていた。
あちこちで火災が発生し、むせかえるような炎と煙の中、ほぼ無傷の戦艦シリウスが鎮座していた。
その砲門は全て上空を向いて煙を上げている。
「ライオネット艦長!国籍不明の潜宙艦、レーダーより消滅いたしました!完全破壊した物と思われます!」
「すごい…これが最新鋭艦の威力なのね…」
艦橋でオペレーターの報告を受けた女艦長シスカ・ライオネット大佐は自らの乗艦の凄まじいまでの攻撃力に半ば茫然としていた。
そこへ司令部からの通信が入った。
『シリウス!応答せよ!無事か!?今のは一体何だ!?』
「はっ!国籍不明の潜宙艦による雷撃を受けましたが本艦は健在、航行および戦闘への支障はありません」
『そうか…つい先ほどデュラン軍務大臣閣下より出撃命令が下った。ロシュフォート近宙域にて威力偵察航行中の艦隊と合流し、反乱軍を殲滅せよ!』
「了解!戦艦シリウス、発進します!」

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