GUARDIAN GIRL 47
そんなやり取りをしていると、ブレインの降下がガクンという衝撃と共に終わり、真っ暗なブレインの中に光が灯ると壁面に辺りの風景が移る。
「この視線は…」
今まで、トモエやチヅルからの情報で見ていたものと同じ視点の眺め。
今がまさに、プロトアイギスアーマーこと『ガーディアンアーマー玄武』がリョウトをパイロットとして認めた瞬間だ!
玄武のメインカメラが紅く輝き一歩、一歩と歩き始める。
「動かせる…玄武の情報が頭の中に…」
リョウトは玄武と一体になったような感覚が、手が脚が自分の身体のように動く。いや、地球を守るための鋼鉄の身体は人体では出来ない動きまで可能になのだ。
「はぁぁぁ!」
リョウトの叫びと共に玄武は天へ飛び上がり。
光の壁を蹴り天を駆ける。
玄武は守るための機体。
バリアとして使う光波シールドを足場代わりにしているのだが、このような事は本来出来ない。
二人を守りたいというリョウトの純粋な思いによる異常なまでの融合状態。
それが、スペックを超えた動きを可能にした。
「間に合った?」
リョウトがモニターごしに朱雀と青龍を発見する。
「トモエちゃん!チヅルちゃん!」
リョウトは杭と2機の間に飛び込み両肩に担いで離脱する。
「なにっ!新型?」
勝利を確信していた黒獅子が突然の乱入者に驚く。
「お前等の好きにはさせない!」
玄武と黒獅子が対峙する。
黒獅子は鞭を切断…いやグリップ部から意図的に切り離し、それは自動的に朱雀と青龍を纏めて縛り上げ拘束した。
トカゲの尻尾切りにも似た構造らしく、鞭を新たに構成、そして遮二無二突っ込んで来た玄武に音速の何倍も超える連打を加えた。
『み…見切れるの?このAA…凄い!』
リョウトの玄武はその九割方を回避、残る一割も手甲で軽くいなし、見事なフットワークで黒獅子に接近してゆく。
『ほおぅ?』
まるで当然の様に事実を受け入れる黒獅子のパイロットよりも、むしろリョウトの方が玄武の機体スペックに驚いていた。