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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 99


「さ、今はそんなことより見舞いってことで花とかいろいろ持ってきたんだ。
 まずそっちのほうを受け取ってくれよ」
「それは光栄でございます。何を持ってきてくださったのですか?」

啓太はそれ以上突っ込んで欲しくなかったのか、ムリヤリ話題を変えて、見舞いの話をし始める。
啓太の第1の下僕を自認する夢も、それ以上は語らず啓太に調子を合わせる。
心の奥底でそれぞれ固い決意をしまいながら。

――――

その頃。星明りのない闇夜の道路を疾駆する1つの影があった。
それはよく見れば車やバイクではない。
乗用車ほどもある1頭の恐竜。
それも『暴君』と呼ばれたティラノサウルスによく似たフォルムをしていた。
天下の公道に姿を現した恐竜は、ジャマな車を蹴散らしながら我が物顔で疾走する。
恐竜の疾走を妨げる障害物はことごとく破壊され、恐竜の通り過ぎた後には踏み潰された車や吹き飛ばされたバイクなどが転々と転がっていた。

「・・・」

そんな時、恐竜の進行方向に1人の男が姿を現す。
そこに現れたのは身体の半身をマントで覆った中世の騎士のような男だった。
しかし上空には歩道橋のような足場もないというのに、男はどこから降りてきたのだろうか――?
いや、それよりも車を平然と弾き潰す怪物の前に出るなんて、どういうつもりなのだろうか――?
そんな中、爆走する恐竜が騎士に向かって一直線に突撃する。
騎士はそれを迎撃する気らしく、マントの切れ目から槍で覆われた右手をあらわにする。
そして恐竜が槍の射程距離に入ると同時に突き立てた!

ガギィンッ!

次の瞬間、騎士の槍は恐竜の牙に防がれ、甲高い音が響く。
しかし話はそこでは止まらない。
騎士の一撃は恐竜の突進を真正面から受け止めた。
その衝撃は真下のアスファルトに伝わり、しならされた大地にヒビを入れ、起伏に富んだ大地へと作り変える。
しかし騎士はびくともしない。
それは明らかに人間の力の限界を超えた力であった。

「・・・むぅ〜ッ!何、ボクのジャマしてんのさ、プテラ・ナイト!
 ボクの遊びのジャマするなっていつも言ってるだろ!?」

恐竜は一声『グルルル・・・!』と一声うなると突然人の言葉を話し始めた。
それは恐竜もまた普通の生き物ではないという何よりの証。
声からしてかなり若い。
もしかしたら素体となったのは声変わりしていない子供なのかもしれない。
一方、プテラ・ナイトと呼ばれた騎士は微塵の動揺すら見せずに淡々と返事をした。

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