世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 96
「そうだな流石に少し疲れたしな。」
夢に送る花束とミルクを見ながら啓太は苦笑しながらそこら辺にあった椅子に座る。
そして穏やかで平和な時間が流れ・・・。
「・・・って!そんなゆっくりできるわけないだろっ!?」
なかった。さすがに啓太も自分のせいでズタボロになった夢のことを忘れなかったらしい。
啓太に最高の時間を提供しようと、日々修行している鈴と夢の絶妙のご奉仕コンビネーションを振り切るくらいなのだから大したものだ。
それだけ啓太の心を占める夢の割合が大きいのだろう。
鈴と空は啓太にそこまで思われている夢にちょっとだけ嫉妬した。
「ほら、2人とも!さっさと行くぞっ!」
「「あ、は・・・はいっ!」」
「頼むぞっ。夢がいない間、鈴たちが支えてくれないとオレはダメダメなんだから・・・!」
啓太の何気ない言葉。
それはヤバくなったら体力の回復を頼むとかそういうことなのだろうが、それでもその一言で2人の心は温かくなる。
啓太が頼りにしてくれている。自分たちの力を必要としてくれる。
それだけで2人の心は癒され、幸福感に満たされる。
「「はいっ!おまかせくださいっ!!」」
いつの間にか嫉妬していたことすら忘れ、急いで啓太の後を追う。
こんな他愛ないことで満たされてしまう、自分たちの単純さに苦笑しながら。
――――
その頃。夢が運ばれた医務室では15人のナースと1人の医者があわただしく動いていた。
そこにやってきたのは夢の代理で組織をまとめるクロック。
「おう、クロック。オマエが見舞いに来るとはめずらしいな。
明日は槍でも降るのか?」
「ご挨拶だな、チェス・ボード。それでどうなんだ、彼女の様子は?」
「医療部部長の私が直々に診ているのにそれを言うのか?
オマエのほうこそよっぽどご挨拶じゃないか」