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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 82

普段から怪人たちは啓太の意思を尊重してくれる。
しかし今『戦闘するな』と命令しても聞かないであろうことは啓太にも容易に想像できた。
彼女らは啓太を守るために生き、死ぬことを当然と考えている。
啓太を傷つけ、犠牲にすることを、彼女らが聞くなんて思えない。
それに彼女たちが怪人である以上、今日のように正義の味方や悪の組織に襲われることも避けられないだろう。
せめて。せめて自分が強ければ。
啓太はこのときほど自分の弱さを痛感したことはなかった。

「・・・ちくしょう。もっとオレがしっかりしてたら・・・!!」
「・・・何とかなる、とでも言うのですか?
 今日の戦いでも怒りに我を忘れ、唯一の武器であるレイ・サーベルを使うことすら忘れた挙句、痛みに悶えて反撃さえできなかったあなたが、どうやって私たちより強くなるというのです?」
「「く、クロック様!?」」

しかしそんな啓太に、クロックは相変わらずの口調で厳しい現実を突きつけ続ける。
鈴と空が言い過ぎだと止めようとするも、クロックの苦言は止まらない。

「啓太様。あなたが何をどうしようと、今日のようなことは今後何回も起こります。
 金や身体目的だけでなく、啓太様や私たちの命を狙ってくるものもいるでしょうから」
「・・・!!」

逃げ道をふさがれ、啓太は絶句する。
ではどうしろというのか。
たとえ自分が何をしようと正義の味方や悪の組織は自分たちを襲い続ける。
たとえ襲ってくるたびに敵を潰しても、新しい敵やさらに強力になった敵がまたやってくるだけだ。
永遠に終わらないイタチごっこ。
どうしてみんなオレたちを放っておいてくれないんだ!?
オレたちはただ平和に暮らしたいだけなのに・・・!
啓太は心の底からそう思った。
そこにクロックがすかさずアドバイスを送る。
現実に打ちのめされた啓太を、理想の総統に育てるために優しく、甘く。

「啓太様。もし私たちのことを思うのならば、1つよい案がございます」
「『案』・・・?ハッ!?まさか世界征服しろとかそういうことかっ!?
 だ、ダメだぞ!
 いくらオマエたちのためとは言え、他人を犠牲にして自分が幸せになろうだなんてっ!
 そ、それにオレは別に世界の支配者だなんて・・・!」

クロックの言い回しに、さすがに感づいた啓太はあわてて釘を刺す。
この辺は啓太の美点であり、欠点でもある。
啓太は今まで日本という平和な社会で、一般人としてすごしてきた。
それゆえ彼は平穏を望み、混乱を嫌がる。

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