PiPi's World 投稿小説

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 79
 81
の最後へ

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 81


その言葉に、啓太は目の前が真っ暗になったような気がした。
あの時。自分が足を引っ張ったから。
夢を助けられなかったから。
この時、啓太は自分のしたことの愚かさを身に染みて感じていた。
そこにすかさずクロックが追い打ちをかける。

「そうですね。
 店員はともかく、夢が傷ついたのは啓太様の短慮な突撃によるものでしょう。
 でなければ、夢がああなることもなかったでしょうね」
「―――ッ!!」
「私を殴りますか?」


その言葉に啓太は文句を言おうとしたが、クロックのこの上ない冷たい眼差しに言葉を失う。
その目は啓太を責めてはいない。
むしろそれですっきりできるならどうぞ、と言わんばかりだ。
クロックは殴られてもかまわないと思っているのかもしれない。
しかし啓太にはクロックの無造作な行為が自分がしようとしていることの愚かさを浮き彫りにされたような気がして、それ以上動くことができない。
ただならぬ空気を感じ取った鈴と空は、あわてて啓太をかばい、慰めに入る。

「け、啓太様!そんなにご自分を責めないでくださいませ!?
 あの時、啓太様は夢さまのために戦おうとしたんじゃありませんか!?」
「そうですよ!!それにクロック様!?
 何で啓太様に夢さまがご無事なことをお教えなさらないんですかッ!?」
「―――え?」
「・・・無事ではない。
 診察の結果、夢の身体の大半はブラックボックスであると判明している。
 メンテナンスや軽いケガならまだいいが、大ケガしたら我々の手に負えんのだぞ?」

――つまりそれは夢が無事というわけで。
その瞬間、啓太は腰が抜けてその場にへたり込んでしまった。
それは啓太が初めて自分の仲間たちも死ぬ危険が付きまとっていることを実感した瞬間だった。
「率直に申します。私は啓太様の考える怪人とヒーローと人の融和路線は無意味だとと思っております。現に今回の出来事はそれを如実に表してます。そして、アパレント・アトムが生き残るには世界を制するしかありません。もし、総帥がお嫌ならば逃げても構いません。ですが、我等の護衛の無い啓太様は死ぬしかありません。」
悪の組織の総帥になった事で死の危機を直感している啓太にクロックは追い討ちをかける事を言い始めた。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す