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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 78

むしろ哀れみすら感じさせるその怯えようは、まさに小悪党のそれだった。

「ま・・・待てッ!こ、殺さないで―――ッ!?」
「死ね」

ヒュカッ・・・!

「カ・・・ペ・・・!?」

急に声が出なくなったかと思うと、ウルトラスナイパーのノドから熱い何かが噴き出してきた。
それがノドをばっさり斬られた出血だとわかったとき、彼の身体にはいくつもの光がきらめき、バラバラに分解されていた。

「・・・あまり部屋を汚さないでもらいたいのだが」
「申し訳ありません。ヤツには生かす価値がないと思ったもので、つい」

処刑するつもりだったとは言え、元同僚を何のためらいもなくブツ切りにして血の海に沈めた翔影の身体は返り血で美しく染め上げられ。
歴戦の猛者である支部長の背筋をゾクリと振るわせた。
かつての同胞をいくつもの肉塊に解体した翔影の実力、そしてためらいのない精神に、支部長はいつもながら翔影に不気味さを覚える。
このヒーロー協会のbQから送られた仲間とは言え、彼の冷たさにはいつまで経っても慣れることができない。
何と言うか、まるで人間味を感じさせないその態度は、怪人以上に不気味なものを感じさせる。
しかし有能であることもまた事実だ。
そこの肉塊のように、このヒーロー協会にも腐ったリンゴや害虫が出てくる以上、翔影のような人材も必要なのだ・・・。

「それでは私はこれにて失礼させていただきます。
 また御用がありましたらお呼びください」
「今度からはもっとスマートに仕事してくれることを願うよ」
「注意します。では・・・」

支部長の心の内を知ってか知らずか、翔影は淡々と退室する。
部屋の外では鬼瓦警部が翔影の姿を見るなり、憤怒の形相でつかみかかった。

「翔影っ!貴様、ウルトラスナイパーを・・・!?」
「殺しました。彼はこの協会だけでなく、世界の秩序を乱しかねない危険な存在でしたので」
「何も!何も殺す必要はないだろうッ!
 記憶操作や力を取り上げればそれで・・・ッ!」
「・・・仮にもあの『大戦』を生き抜いた5英雄の1人がずいぶんと甘いことをおっしゃられる。
 そんなことをすれば、後でどのような問題の種になるか、わからないわけでもありますまい?」
「・・・ッ!!」

言葉に詰まったそのスキを突いて、翔影は自分の襟元をつかむ鬼瓦警部の手を振りほどく。

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