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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 76


「いいだろう。
 ではそこの翔影と戦い、勝つことができたら全ては不問としよう」
「え・・・!?」

降って湧いた幸運だというのに、ウルトラスナイパーの顔色は優れない。
当然だ。彼のランクは自分より上。
さらに自分には右手もなく満身創痍と来ている。
何より彼は、人には言えない影の仕事を背負ってきたダークヒーローとのウワサが絶えない。
それに勝てとは素手で熊を倒せと言われているようなものだ。
だがここで引くわけには行かない。
引けばこの絶好のチャンスを失うことになりかねない。
死ぬかもしれない恐怖が、正常な判断力を奪っていることに気づいていないようだ。
そして彼は勝負に出た。
0か100かのあまりに分の悪い賭けに。

「わ、わかりました。その勝負、乗りましょう」
「よろしい。だが君は手負いだ。
 ハンデとして君の得意とする西部劇風の早撃ち勝負と行こう。
 翔影、異存はないな?」
「やれとおっしゃるなら、私はそれに従うだけです」

それを聞いてウルトラスナイパーはほくそ笑む。
翔影は銃らしきものを持っていなかったからだ。
となれば当然、翔影は手裏剣などの投擲武器で攻撃しなければならない。
だが投げつける行為が、正義の味方仕様にカスタマイズされた銃弾の速さに追いつけるわけがない。
この時点ですでに勝利は手にしたも同然だった。
そして支部長の支持の下、ウルトラスナイパーと翔影は一騎撃ちのポジションにつく。

「ルールは簡単。相手より早く攻撃を当てればいい。
 ウルトラスナイパーが勝てば全ては不問とする。
 翔影が勝てばウルトラスナイパーは全ての罪を背負い、処刑する。
 双方とも覚悟はいいかね?」
「・・・どうぞ」
「了解しました」
「では・・・始めッ!!」

ピキィン・・・ッ!!

その瞬間、周囲の空気が緊張で一気に張り詰める。
2人とも直立不動の構え。
これだけですでに翔影は不利なのだが、無表情なその顔からは焦りや動揺は微塵も感じられない。

(・・・ナメやがって・・・!手裏剣が銃に勝てると思ってンのか!?
 すぐに後悔させてやるッ・・・!あの世でなァッ!!)

次の瞬間、ウルトラスナイパーが動く。
後手に回った翔影。これでは迎撃も回避も間に合わない――!!

ドンッ!!

そして1発の銃声が司令室に鳴り響いた。

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