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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 74

啓太と夢は急いで基地へと搬送された。
空の能力で応急処置はできたが、相手は自分たちの主人。
大事をとって基地で精密検査を行うこととなった。
夢については言うまでもない。
この後、ようやく到着した警察の事情聴取など事後処理で騒がしくなるのだが、それは省略する。
さてウルトラスナイパーに鎧の中身を撃たれた啓太は大丈夫なのだろうか?
そして逃げた鬼瓦たちは?
まずはそこのところを順を追って話していこう。
――――

別人のように変わった夢から逃れた正義の味方一行がやってきたのは、新京と呼ばれる東京湾の埋立地(メガフロート)。
そこに建てられた巨大なビルディング。
彼ら正義の味方が所属する組織、通称『ヒーロー協会』の日本支部である。
しかし彼らが向かった先は治療室ではない。
ヒーロー協会日本支部の最上階にある司令室であった。
鬼瓦たちは司令室のドアの前で短いやり取りを済ませると、開いたドアを通って中へと進む。
そして部屋に入るなり、ウルトラスナイパーを担いでいたサイレントシャドウがジャマだとばかりに担いでいた荷物を放り投げた。

「ぐあッ!?」
「翔影ッ!?」

それを見ていた鬼瓦は、思わずサイレントシャドウの正体を叫ぶ。
静寂の影の異名を持つサイレントシャドウ。
その男の正体は翔影と呼ばれていた。

「ハアーッ、ハアーッ・・・!て、テメエら・・・!
 一体どういうことだ・・・!?
 こないだ死んだばかりの男がいるかと思えば、謹慎処分を食らった問題児に、普段表舞台に出ることない正義の味方まで・・・!」
「それは君が知る必要はないな」

ズタボロのウルトラスナイパーの背後から、これ以上ないほど冷たい声が聞こえた。
その声にウルトラスナイパーだけでなく、鬼瓦さえもが緊張にその身を強張らせた。
彼らの視線の先。
そこにいたのは黙々とデスクワークをこなす1人の男。
彼こそがこのヒーロー協会日本支部を統轄する司令官であった。

「それより今は自分のことを心配したほうがいいじゃないのかな?
 傷のこともそうだが、自分の立場のこととかね」

司令官の言葉にウルトラスナイパーはギクリと反応する。
彼は悟った。自分がしてきた悪事がバレたのだ、と。

「ご苦労だったな、鬼瓦君。
 ウルトラスナイパーをつれてきてもらうだけの任務だったのに、大変だったろう?」
「いえ、優秀な仲間もおりましたので」
「『優秀な仲間』か。これからの君たちの働きには期待しているよ。
 それではサイレントシャドウ以外、トレーニングに戻ってくれたまえ」
「ッ!!司令官!お待ちください!」
「聞こえなかったのかね?サイレントシャドウ以外、トレーニングに戻れと言ったのだが」

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