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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 72

ゴルディオスたちはビームの発射と同時にすばやくその場から飛びのき、攻撃をやり過ごす。
あまりにハイレベルな攻防に、ウルトラスナイパーは二の句が告げられなかった。
しかしこの戦い、このやり取りですでに決着がついていた。

(・・・マズいな。まさか悪の組織にこれほどの怪人がいようとは・・・!)

ゴルディオスだけでなく、そこにいた全ての正義の味方が変身した夢に勝つことができないことを直感的に悟っていた。
それもそのはず、先ほどの回避はこれまでの経験、訓練によって培われたカンみたいなものである。
かつて悪の組織との大規模な戦いを潜り抜けてきたゴルディオスならまだしも、まだ若いジャスティスたちには回避し続けることはムリだろう。
攻撃にいたってはその糸口すらつかめない。
相手が一体どうやって攻撃しているのか、それすらわかっていないのだから。
攻撃ができない以上、すばやく戦略的撤退をするのが最善の策。
元々、彼らはウルトラスナイパーの身柄を確保するために来たのだから。
しかし問題は相手がそれを許してくれるかどうか。
相手は何も考えていないように見えるが、明らかにこちらに殺意を抱いている。
攻撃の瞬間に放たれる、わずかな殺気が何よりの証だ。
さてどうやってこの場を切り抜けるか。
鬼瓦が冷や汗をかきながら考え始めたそのときだ。

「う・・・あ・・・」

突然夢の足元から弱々しいうめき声が聞こえてきた。
それはウルトラスナイパーにやられた啓太のものだった。
出血量から死んだかと思ったが、まだ息があったらしい。
するとその瞬間、ガラスのような瞳でこちらを見ていた夢に変化が起こった。

「け・・・イタ・・・さ・・・マ・・・?」

瞳に光が戻り、ぎこちない言葉遣いで夢が主の名をつぶやく。
しかし啓太は撃たれたダメージが大きすぎたのか、返事がない。
助けなくては。
その時初めて夢はウルトラスナイパーたちから目をそらした。
その絶好のチャンスを、彼らが見逃すはずはなかった。

「――今だッ!!」

それを合図にエルカイザーが限定空間を解除。
それと同時にサイレントシャドウが閃光弾を地面にたたきつける。
そしてゴルディオスがウルトラスナイパーを抱え、残りの面々も急いでその場を後にする。
だが今の夢にはそんなことなど関係なかった。
啓太の生命を守ること。それが彼女の最優先事項だった。
夢は啓太の傷口に顔を近づけるとペロペロと舐め始める。

「んッ・・・ふッ・・・ピチャ・・・」

ひとしきり傷口を舐めると、顔についた血をぬぐって次の治療に移行する。
夢はそっと傷口に手をかざすと、傷口から出る血が糸のような不自然なしぶきを上げる。
すると傷口から数発の弾丸が零れ落ち、傷口が見る間に閉じていく、
それに合わせて出血も徐々に止まっていく。

「よ・・・カッタ・・・」

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