世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 71
ポウ、ポウ、ポウ・・・!
空中に丸く輝く発光体が出現したかと思うと。
ジャッ!!
「ウギャアァァアアァァッ!?」
発光体は細い閃光と化してウルトラスナイパーの身体を貫いた。
何とか致命傷は避けたものの、手足やわき腹、肩に1円玉ほどのえぐられたような円形の焦げ痕が無数についている。
あまりの激痛に涙と血、よだれを撒き散らしながらウルトラスナイパーは謎の女に質問する。
質問せずにはいられなかった。
「な・・・んだッ!?おまえ・・・!一体・・・!!何なん・・・だッ!?」
だが女から返ってきたのは言葉ではなく、彼を貫いた無数の発光体。
避けることも防ぐこともできない今、自分にできることは死ぬことだけ・・・!
絶体絶命のピンチに涙を浮かべた瞬間、死の閃光がウルトラスナイパーに降り注いだ。
もうダメか――!?
ウルトラスナイパーがあきらめかけたその時だった。
キィンッ!
「げ、限定空間!?」
甲高い音にいち早く反応したウルトラスナイパーが驚く。
それは一部の正義の味方の使う、特殊技であった。
続いてどこからともなく手裏剣が飛んできて、閃光を受け止めた。
手裏剣はわずかな時間を稼ぐのが精一杯で、すぐに溶けてしまったがそれで十分だった。
突然現れた人影が、ウルトラスナイパーを抱えてその場を切り抜けられたのだから。
九死に一生を得たウルトラスナイパーは、自分を助けた人影を見る。
「え・・・エルカイザー!?」
そこにいたのは死んだはずのエルカイザー。
しかし死人は何も答えず、ただ静かに別人と化した夢をにらんでいる。
「無事だったか、ウルトラスナイパー」
「運がいいのか、悪いのか。ま、せいぜい私たちに感謝するんだな」
「ご、ゴルディオスにジャスティス・エクスキュージョナー!?
サイレントシャドウまで!?」
ウルトラスナイパーは驚いた。
そこにいたのは死んだはずの男だけでなく、謹慎を食らっていた同僚や、正義の味方の中でもかなりの大物がそろっていたのだから。
「話は後だ。まずはあのお嬢さんを何とかしないとな・・・!」
ゴルディオスこと鬼瓦の視線の先には、何も映していない瞳でこちらを見つける夢の姿が。
そこには敵が増えたことに対する動揺や緊張は、欠片も見受けられない。
「「「「!!」」」」
その時突然、何かに反応したウルトラスナイパー以外の面々が突然その場から離れる。
その瞬間、何もない空間から繭が出現、潰れて消えた。
間髪入れず、今度はウルトラスナイパーを行動不能にしたあの発光体が出現した。