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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 70

夢であって夢とは別人である美女が、撃たれた傷も注入された毒すらも忘れたかのようにその場に立ち尽くしていた。

ヒュカッ・・・!

突然現れた女神の登場に、ウルトラ・スナイパーは無意識のうちに銃口を向けた。
得体の知れないものへの警戒なんて単純な話ではない。
正義の味方としてのカンと経験が、無意識のうちに彼の右手を動かしていたのである。

「・・・え?」

マヌケな、声。それは知らず銃を構えたことではない。
構えた右手の異変に気がついたからだ。
何しろ、いつの間にか自分の右手が銀色の繭みたいなもので覆われていたのだから。
一体いつの間に?そう思ったと同時にそれは起こった。

ビギィッ!!

「・・・ガッ!?」

突然右手に激痛が走ったと思った瞬間、繭に包まれた右腕から異形の右腕が飛び出した。
いや、違う。それは間違いなく彼自身の右腕だ。
なぜならその腕は彼の愛用している拳銃を握りしめていたのだから――!

ジャキッ!

「!?」

突然異形と化した右腕が激痛を伝えながら、その銃口を自分の額に突きつける。
ウルトラスナイパーは腕を止めようとするが、まったく、指の1本すら思うように動かせない。
そして血まみれの異形の腕が引き金に力を込めた――。

ドンッ!

しかしそれより一瞬早く左腕の銃が彼の右手首を打ち抜き、吹っ飛ばす。
悲鳴を上げるまもなく激痛の信号が脳に伝わる。
だが痛みに悶えるにはまだ早い。
手首を吹き飛ばされた右腕は、人間の稼動区域を完全に無視した動きをしながら膨張すると・・・。

ボンッ!

破裂した。ダイナマイトのような破裂ではなく、風船がはじけるように血と肉片を撒き散らしながら破裂したのである。

「ぎ・・・ギィヤアァァアァァッ!!!???」

想像を絶する激痛に襲われ、ウルトラスナイパーは傷口を押さえてゴロゴロと転がった。
涙を流して転がりながら、ウルトラスナイパーは考えた。
何だ?今、自分は何をされた?
あの女が何かしたのは間違いない。だがいったい何をされた?
気づいた瞬間には自分の右腕は繭のようなものに覆われ、バケモノのようになった右腕に襲われた。
そして攻撃に失敗するなり、右腕は突然破裂した。
何だ?この攻撃は?いつの間に自分は攻撃された?
いつの間に自分の右腕は改造されていた?
生き物の身体を操るタイプの怪人は存在する。
しかしそのタイプの怪人に、生体改造なんてスキルがあるなんて聞いたことはない。
ましてあんな短時間で、気づかれることなく改造してしまうなんて。
ありえない。あんな存在なんてありえない。
あれはこの世の科学レベルを優に超えてしまっている。
信じられない現実を受け入れられないウルトラスナイパーに、別人のようになった夢の追撃が入る。

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