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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 8


日本刀メイドはそう言うと軽々とグラップルを肩に担ぐ。
ミニスカメイドのそれにならい、タマゴと抵抗するリベリオンを確保する。

「ではご主人様、こちらも参りますよ?」

その瞬間、リベリオンたちを中心に風が巻き起こる。
風はだんだん強くなり、背後の炎を取り込んで炎の竜巻と化す。

「『スキップ・ウインド』」

軽やかな声がしたかと思うと、竜巻が爆ぜる。
竜巻のあった場所には何もない。
炎もリベリオンたちも何もいない。
集まってきた野次馬たちは目の前で起こったことに呆気にとられることしかできないでいた。

――――

戦いの場となった現場から少し離れたビルの屋上。
そこの上空から数人の人影が降ってくる。リベリオンたちだ。
はるか上空からヒモなしバンジーをキメた彼らは、重力に従い、加速しながら落ちていく。
しかしメイドの持つ緑色の杖が激突直前、かすかに光ったかと思うと、彼女他のまわりにだけ突風が吹き、落下の衝撃をゼロにした。
そしてリベリオンたちは何事もなかったかのようにビルの屋上に着地する。

「・・・お待たせいたしました。もう変身を解いても大丈夫です」
「・・・・・・」

メイドたちが周囲の安全をリベリオンに告げる。
すると彼を覆っていた鎧やマントは空気に溶けるように消えていき、鎧騎士の姿から1人の若者へと姿を変えた。
彼の名前は乱宮啓太。
彼女たち3人のメイドとグラップルの主にして、新しく発足した新組織『アパレント・アトム』の総帥である。
啓太は元の姿に戻りこそしたが、難しい表情を浮かべたまま何かを考え込んでいる。
メイドたちは自分たちの主が何を考えているかはすぐにわかった。
あの忍者のような男――翔影の言っていたことを考えているのだ。

「・・・どういうことだ」

沈黙を破り、最初に口を開いたのは啓太だった。
それはだれに言うでもない、独り言のような呟きだった。

「何であの男はフレアたちのことを知っていた・・・?」

啓太がそう考えるのも無理はない話であった。
翔影が言った言葉、『エレメンタル・ガーディアン』。
それは彼女たち3人のメイドたちの総称であった。
野良怪人であった彼女ら3人を拾った、クロックという怪人が戯れにつけた部隊名。
それをあの男は知っていた。正義の味方であるあの男が。
啓太はこの半年にもまれた経験をフル稼働させて考える。
誰か話していたのを聞かれていた?
・・・No。啓太は彼女らのことを部隊名で呼ぶことはない。
ではなぜ翔影は偶然つけられたはずの彼女らの部隊名を知っていた?
しかしいくら考えても、答えなんて出てこない。
とにかくこのことを夢たちに伝えておく必要がある。
グラップルとタマゴのケガの具合も気になる。
啓太はそこまで考えると、思考を中断して3人のメイドたちに声をかける。

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