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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 67

あまりに不可思議で、矛盾した現象。
その謎は戻ってきた視界とともに解かれることとなった。

「―――ッ!?」

それはにわかには信じられない状況であった。
被弾した弾丸は夢の予測した弾道とは全く違う場所に命中している。
そして命中した弾丸は全部で4発。
砕いた弾丸をなしにしても、明らかに発砲音以上の弾丸が放たれていた。
それらの意味するところを知り、夢は思わず歯軋りをした。

「跳弾・・・か!しかも発砲音を最小に抑えて・・・ッ!!」
「正解♪よく理解できましたぁ〜」

夢の悔しそうな声を最高のBGMにしてウルトラスナイパーが姿を現す。
それは彼が勝利を確信したことを示す、何よりの証であった。
夢の視界を奪った瞬間、ウルトラスナイパーは2丁拳銃を使って6発の弾丸を放った。
ただし真正面に打ち込んだのは2発だけ。
残り4発は跳弾として別の方向に撃ち出していた。
さらに引き金を引くタイミングを全く同時に合わせることで、放たれた弾丸は3発だけと勘違いさせる罠まで用意して。
これがビーストや雅(リリス)なら音の違いを聞き分け、防いでいたかもしれない。
しかし探知能力に特化していない夢はまんまとだまされ、弾丸の餌食となった。

「いやぁ、カエルどもがこんな美人に化けるもんだから、ちょっと焦ったけど。
 所詮はオレの敵じゃあなかったね」
「くッ・・・!!」

夢はとっさに糸を繰り出そうと試みるが。
四肢に力が入らず、思うように糸が操れない。
そこにすかさずウルトラスナイパーの蹴りが夢のこめかみを捉え、吹っ飛ばされる。
そして彼の足が容赦なく夢の頭を踏みつける。

「がッ・・・!?」
「ムダだよ。アンタを撃った弾丸には麻痺毒が仕込んである。
 そう簡単に動くことなんてできない」

憎々しい敵に頭を踏みつけられ、夢は屈辱でどうにかなりそうだ。
しかし何とかしようにも自分は動けず、周囲の仲間も『追跡狙撃』で満足に動けない。
絶体絶命の状況で、ウルトラスナイパーが心底楽しそうに口を開く。

「さぁて。楽しい尋問の始まりだ。何、素直に話せば殺しゃしない。
 オレの性奴隷としてみぃんなかわいがってやるさ!
 ギャハハハッ!!」

マズい。何とかして仲間たちだけでも逃がさないと。
夢が最悪の展開を少しでも和らげようと思考を張り巡らせたそのときだ。

「テメエッ!?夢からその汚い足をどかしやがれェッ!!」

聞き覚えのある声が、重量感のある足音とともに近づいてくるのがわかった。
それは何とかピンチに間に合った、アパレント・アトム総統、乱宮啓太その人であった。

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