PiPi's World 投稿小説

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

の最初へ
 61
 63
の最後へ

世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 63

手のひらを硬質化させて剣を握る。
一歩間違えれば血が出るどころか指4本を失う行為に、刀の血の気が引く。

「・・・ッ!?」
「もう一度言うぞ。『どけ』」
「〜〜〜ッ!!」

ギャリィンッ!

その瞬間、刀は主を傷つけたくない思いと恐怖から、思わず啓太の手から強引に剣を抜き取る。
金属同士がこすりあう甲高い音が鳴り響き引き抜かれた刀身が天井を向いてきらりと光る。

「ハアッ・・・!ハアッ・・・!」
「・・・ッ!?」

わずかな時間で多大な精神力を消費した刀は、呼吸も荒く憔悴しきっていた。
一方の啓太も同じように憔悴していた。
刀は気づいていないが、さっきの強引な引き抜きで装甲と化した手のひらは本体を傷つけるギリギリ寸前まで切れていたのだ。
何だか様子がおかしかったのでイケるかと思っただけに、とんだ誤算であった。
しかし最後の力を振り絞って刀は愛用の剣を左手に戻す。
刀が最後の脅迫に打って出たのだ。
そうとは知らない啓太は内心安堵のため息をつきながら口を開く。

「な、んだ?やっと通してくれる気になったのか?」
「ご、ご冗談を・・・!啓太様に、私の覚悟の程を知ってもらおうと思ったまでですっ!」

刀はそう言うと、懐から宝石で作られた、赤い花のような図形を1枚取り出す。
そしてそれを左手の甲にCDのようにはめ込んだ。

「コレは開発部が作った『エレメンタル・コア』と呼ばれる代物でしてね。
 これを装備すると種類によってさまざまな属性が身につくんです。
 私の場合、これを必殺技として応用しました」
「ひ、必殺技ッ!?」

そこまでするのっ!?と言わんばかりの様子で驚く啓太。
そこには先ほどまでの虚勢はどこにもない。
素のままの自分がいるだけだ。
この時点ですでに勝ったも同然だというのに、刀は止まらない。
どうやらさっきのやり取りで、何かが吹き飛んでしまったらしい。

「ふ、ふふ・・・!これがっ!私のっ!覚悟ですッ!!」
「ちょ、ちょっと待てぇッ!!そんなんヤバ過ぎんぞッ!?」
「け、啓太さまッ!!」

緊張感が固まる中、刀は左手首をつかんだまま低く腰を下ろす。
その体勢はまるで居合いのようだ。

「コレがっ!我が奥義の1つ!『火剣』ですっ!!」

その瞬間、剣が抜き放たれ、先ほどとは違う真紅の刃が啓太を襲った!
パニック状態になった啓太は、思考停止状態になって身体を装甲化していない!
今、それを食らったら確実に死・・・!?

ゴオゥンッ!!

そして必殺の刃が啓太の身体を走っていった。

SNSでこの小説を紹介

SFの他のリレー小説

こちらから小説を探す