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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部
官能リレー小説 - SF

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世界の中心で平和を叫ぶ。第2部 52

“ちょ・・・ムチャ言わないでよ!?
 連中をブチのめしたいのは山々だけど、こっちは配下の人間やトカゲ人間がゴロゴロいるのよ!?
 そんな中、一体どうやって・・・!”
“そんなこと言わな・・・キャッ!?”

なおも食い下がろうとした円の声が突然途切れる。
どうやら向こうでもまた何やらあったらしい。
こうなっては彼女の言うとおり、早くコイツらを倒してあそこに戻らねば・・・!
羽樹は一刻を争う状況を苦々しく思いながら、敵に気づかれないように周囲に目を配っていった。
するとちょうどカエル怪人の本体であるヘビから、見知った顔のウエイトレスがでろりと吐き出される様子が目に入った。
日高六実(ひだか・むつみ)。羽樹が本来の力を出すために必要な怪人の1人である。
この様子なら、カエル怪人に飲み込まれた最後の1人、春見沢 蓮(はるみさわ・れん)もいるに違いない。
そう考えた羽樹は、全身にまとわりつく粘液の感触に吐き気を覚えながら仲間たちと話をつけるべく、4人にしか通じない不思議な声を送り続けた。

――――

その頃、白煙に包まれた『デリシャス』では。
夢がようやく地上に到着し、出口であるキッチンの柱から戦闘体勢で出て来ていた。
地上に出てきた彼女の見たもの。それは光の帯に次々と撃ち殺されていくカエル怪人や戦闘員の姿。
そして人間形態のまま気絶したり、手傷を負って苦しんでいる仲間たちの姿であった。

「うっ・・・くぁ・・・!夢、さま・・・!?」
「大丈夫か!?私のいない間に一体何があった!?」
「そ、それは・・・」

傷ついたウエイトレス怪人が夢に状況を説明しようとしたその時だった。

シャオンッ・・・!

何か甲高い音がしたかと思うと、いきなりフロアのほうから何かが飛んできた。
完全に不意をつかれた夢は、それを防げない。

「危ない、夢さまッ!?」

やられる!と思った瞬間、状況報告しようとした怪人ウエイトレスがとっさに夢に覆いかぶさる。

ガシュッ・・・!!
「あぐっ!?」

その直後、怪人ウエイトレスの背後を襲って来た何かの攻撃を受け、悲鳴を上げる。
幸い攻撃はかばった彼女の肉を軽く削いだだけで、そのまま壁に吹っ飛んでいった。
一体何が!?夢は一瞬そう思ったが、すぐさま自分をかばった部下を気遣う。

「お、おい!?大丈夫か!?しっかりしろッ!!」
「あ・・・ぐ・・・!」

息はあるが、さっきの謎の攻撃のダメージが思ったより大きいようだ。
怪人ウエイトレスは苦しそうに呻いた。
背中を見れば、傷口は不自然なほど大きくえぐれ、白っぽい何かが見て取れた。

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